職場や家庭、SNSなどで、その場の感情に任せて相手に怒りをぶつけてしまい、後悔したことはありませんか。発端はささいなことだったのに、ぶつけてしまった怒りが人間関係を傷つけ、その後、取り返しのつかない大事に発展することも少なくありません。
そんな失敗をしないために必要な、怒りをうまくコントロールして日々を平和に穏やかに過ごすコツを教えてくれるのは、精神科医の伊藤拓先生です。
20年以上にわたり、のべ5万人を診てきた先生の著書『精神科医が教える 後悔しない怒り方』から再構成して紹介します。(初出:2021年10月6日)(初出時より再構成しました)

【精神科医が教える】心を今すぐ落ち着かせたい時に使える、驚くほどすぐに効くリラックス法【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock
伊藤拓(いとう・たく)
精神科医
昭和39年、東京都西東京市出身。東京大学理科Ⅱ類(薬学部)卒業後に医師を目指し、横浜市立大学医学部医学科に再入学。卒業後に内科研修を1年履修した後、精神科に興味を抱き、東京都立松沢病院で2年間研修する。平成5年に医師免許、平成10年に精神保健指定免許を取得。現在、大内病院精神神経科医師。
精神科医としてこれまでの27年間でのべ5万人以上を診ている。統合失調症、気分障害(躁うつ)、軽症うつ病の分野で高い評価を得ている。

 意外に思われる方もいるかもしれませんが、自分の感情を抑制するには、体からアプローチする方法もあります。

 ここでは、身体感覚からアプローチして、怒りをコントロールしていく2つのスキルを紹介します。

心と体の緊張をほぐす「筋弛緩法」

 筋肉からのアプローチで心身を落ち着かせる方法もあります。

 簡単なので、いますぐトライしてみましょう。

【1】両肩に力を込めてギューッと上げます。
【2】肩の筋肉にできるだけ力を込め、首をすぼめて両肩を上げた姿勢を15秒間キープします。
【3】一気に力を抜いて、ストンと両肩を下ろします。

 肩の筋肉の緊張が瞬間的にとれ、心と体の緊張がストンとほぐれたような気分になりませんか?

 これは、「筋弛緩法」と呼ばれていて、筋肉の緊張を一気にゆるめ、脱力させることで心身をリラックスさせる方法です。

筋肉をほぐして心の緊張をとく

 普段から怒ったりイライラしたりしていると、交感神経が興奮し、筋肉が緊張してこり固まりがちになります。この筋弛緩法は、そうしたこり固まった筋肉をほぐすと同時に、心の緊張もほぐすことができるのです。

【精神科医が教える】心を今すぐ落ち着かせたい時に使える、驚くほどすぐに効くリラックス法【書籍オンライン編集部セレクション】イラスト:安賀裕子