印象論に終始する「能力評価」に説得力を持たせる6つのポイントPhoto:PIXTA

半期の評価を実施するこの時期、能力評価が印象論でしか語られないという不満の声をよく耳にする。客観的な評価のためにも、能力発揮の状況を数値で捉えることが重要だ。持続的成長を実現している経営者が高いスコアを記録している6項目を紹介する。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)

印象論でのみ語られる能力評価
どうしたらギャップをなくせる?

「メンバーが評価に納得してくれない」「会社の評価と本人の評価にギャップがあり過ぎる」「結果だけで評価してもらいたくない」「単なる印象で評価されてはたまったものではない」……といったように、「評価」に対して不満を持つ人は実に多い。

 翌期の成果を上げるために、評価者とメンバーとで、評価の納得度を高める面談を実施している企業は多いが、これが機能していない。特にその人の「能力」を評価する際には、認識にギャップが生じやすいようだ。

 実績評価は数値で、プロセス評価はプロセスの実施有無で、知識レベルは例えば取得資格などにより客観的に把握できる部分がある。

 しかし、能力評価となると、途端に印象論に陥ってしまう。「Aさんは伸びしろがある」「Bさんはやる気が足りない」「Cさんは堅実だ」「Dさんは実行力がない」などと、漠然としたイメージのみで語られ、一向に事実の積み上げがなされない。その結果、一次評価者と二次評価者とで大きく評価が乖離してしまう。評価会議を実施して、評価者間やマネジャー層で評価のすり合わせをしても、印象論で語っている以上はまとまらない。

 では、能力の発揮状況を、印象論ではなく、客観的な事実で捉えて評価する方法はないだろうか。

 このように申し上げると、「そんな方法があれば、とっくの前から実施している」「そのような方法がないから、評価者はみんな苦労している」「そもそも能力の発揮状況は頑張るかどうかに尽きるので、評価者の印象でよいのではないか」という見解に接する。

 しかし、私はそうは思わない。能力の発揮状況こそ、客観的に数値で捉え、そのレベルについて他ならぬ本人が納得した上で、どの能力をどのように高めていくか自覚していくことこそが重要だ。それが、個人の能力発揮レベルを高め、ひいては組織の成果を高めることに直結する。

 そこで評価者は、能力の発揮状況を評価する際、次ページ以降で解説する「六つの項目」に注目するべきだと筆者は考える。