iDeCOや企業型DCの放置は危険!? 大企業社員が陥りがちな「会社任せ」の罠写真はイメージです Photo:PIXTA

「iDeCo(イデコ)」とは個人型確定拠出年金のことをいいますが、企業型確定拠出年金に加入している人もいるでしょう。しかし、会社任せにして、ぼんやり放置している人も多いのではないでしょうか。iDeCo加入者も同様ですが、これからの時代、主体的に運用しないままでは、将来、経済的危機に陥るおそれがあります。(セゾン投信代表取締役会長CEO 中野晴啓)

来年度からiDeCo加入者が激増する可能性

 生活者の自助自立をサポートする少額投資非課税制度として、「つみたてNISA」と並び「iDeCo(イデコ)」の認知度も高まってきました。

「iDeCo」の正式名称は個人型確定拠出年金、つまりは年金制度です。加入できるのは、20歳以上60歳未満でしたが、2022年度からは65歳まで拠出可能になります。

 また、これまで自営業者や企業年金がない企業の従業員などが主な対象でしたが、企業年金に加入している人も、1人当たりの拠出上限額との差額をiDeCoで併用できるようになります。すでに退職等年金給付制度との併用ができる公務員も含め、大半の日本の生活者が加入可能な制度に改正されるため、来年度から「iDeCo」は一般化して加入者が激増していくことでしょう。

企業型加入者は要注意の理由

 ところで、確定拠出年金(DC)には、個人型(iDeCo)と企業型があります。「企業年金」といえばかつては3階建て年金と呼ばれ、企業側が運用益(予定利回り)を保証する確定給付型の年金基金制度が専らでした。

 しかし、20世紀終盤以降の超低金利時代が定着する金融環境の変化と、企業体力の低下などの要因から、今では従業員が自ら運用指図する確定拠出型が主流になってきました。

 つまり企業型DCも個人型DCの「iDeCo」も、基本的コンセプトは同じ「じぶん年金」です。要するにリタイア後の自分が将来受け取るときに備えて受取額を増やしていくために、自らの判断で運用し、長期投資してお金を育てていくことが基本の制度なのです。

 ところが企業型DCの実態は、おしなべて組織全体の年金拠出総額のうち、過半が預金か元本確保型に滞留していて、必ずしも参加者が運用指図をしているとは言い難いのです。

 だから、会社任せにしていると損し得るのですが、放置している従業員が実は多いのではないでしょうか。