痛み日本人の5~6人に1人は、慢性疼痛を抱えている(写真はイメージです) Photo:PIXTA

腰痛、肩こりなど多くの人が抱えがちな体の痛み。このような原因がわからないまま長く続く痛みを「慢性疼痛」といいます。実は、現在日本人の5人に1人が慢性疼痛に悩まされているというデータもあるほど身近な症状なのです。そこで今回は、愛知医科大学病院副院長・牛田享宏さんの著書『いつまでも消えない「痛み」の正体』(青春出版社)から、慢性疼痛が起きるメカニズムや、日常で痛みを抑えるヒントを紹介します。

腰痛や肩こりの痛みはなぜ長引くのか

 ある程度の年齢になると、多くの方が、腰、膝、肩、首など、体のどこかにいつまでも治らない痛みを感じるようになります。骨折や捻挫、脳卒中や糖尿病など、ケガや病気、手術をきっかけに痛みが出てくることもあれば、まったく原因がわからないのに痛みが続いていることもあります。

 痛みには、大きく分けて、急性疼痛と慢性疼痛の2つがあります。急性疼痛は、ケガや病気で組織が傷つくことで起きるもので、組織が治れば痛みもなくなります。これに対して、組織が治ったあとも痛みだけが消えないのが、慢性疼痛です。目安として、3カ月以上続く痛みです。

 一体なぜ、組織が治ったあとも痛みだけが残ってしまうのでしょうか。