新首相誕生の全舞台裏、総理使い捨ての「悪弊」断ち切れるか自民党総裁選討論会を前に、揮毫を手に記念撮影をする4候補者。長過ぎた総裁選の結果、自民党内の権力構造は大きく変容してしまった Photo:JIJI

 日本の新しい顔を決める自民党総裁選は決選投票の末、岸田文雄(64)に決まった。10月4日に召集される臨時国会で、菅義偉(72)に代わり首相に就任する。1885年の初代首相、伊藤博文から数えて100代目という節目の首相になるが、前途洋々というわけではない。

 まず直面するのは衆院選挙だ。衆院議員の任期満了を迎える10月21日を超えて選挙が行われることは確定しており、「待ったなし」だ。新首相による所信表明演説と衆参両院の代表質問を終えて、直ちに解散という段取りで進む。自民党の国対幹部は解散の日取りについて、「10月14日か15日のいずれかだが、新しい首相の判断を待つことになる」と語る。

 焦点の投開票日も2案ある。11月7日か14日。7日説は「なるべく早く議席の空白を埋める必要がある」(自民党幹部)という常識的な考えに基づく。与野党の大勢といっていい。

 これに対し、14日説は国際会議への新首相の出席問題がその理由だ。10月30、31日の両日、イタリアのローマで20カ国・地域首脳会合(G20)が開かれる。米大統領のバイデンを筆頭に、ロシア大統領のプーチン、中国首相の李克強、韓国大統領の文在寅ら「世界の顔」が集結する可能性がある。

 菅が在任中一度も対面できなかった近隣諸国の首脳と会談できる絶好のチャンスである。ところが衆院選の投票日が7日だと、公示日は10月26日でG20への出席は選挙期間中にならざるを得なくなる。いずれも新首相の判断待ちだ。