製造、小売り、輸送、介護などの現場で忙しく働くデスクレスワーカーが抱える課題は、かんたんに・間違わず・速くコミュニケーションすることの難しさだ。サイエンスアーツは電話や従来の無線機では解決できなかったコミュニケーションの壁を、独自の技術によって乗り越えた。

 机に座らず現場に出て働くデスクレスワーカーは、世界の労働人口のうち80%を占める(Emergence Capital Partners 2018年)といわれる。日本にも店舗、駅、空港、介護、工場、建設現場、物流といったさまざまな現場がある。こうした現場が抱える課題は、かんたんに・間違わず・速くコミュニケーションすることの難しさだ。

 サイエンスアーツが提供する「Buddycom(バディコム)」は、デスクレスワーカーをつなげるライブコミュニケーションプラットフォーム。現場のDX化をミッションとして、「大企業を中心とした大規模な現場で、ミッションクリティカル(中断が許されない)な利用を想定して開発しました」と、サイエンスアーツの平岡秀一社長は話す。

 Buddycomを一言で表現すれば、スマートフォンやタブレットに専用アプリを入れて使うIP無線だが、一般的なトランシーバーやIP無線に比べて、独自の圧縮復元技術により音声がクリアで、標準で使える機能が豊富だ。それでいて簡単で直感的に使える。「忙しい現場では手数のかかる操作はできないので、使い勝手のいいサービスを目指しました」(平岡社長)。

サイエンスアーツ
平岡秀一 代表取締役社長

 音声通話機能だけに注目しても、グループ内のユーザーへ一斉発信ができる「グループ通話」、ユーザー同士が1対1で通話ができる「個別通話」、複数人同時に通話できる「双方向通話」、テキストや画像の送受信ができるチャット機能、ユーザーの位置が分かる「位置情報の確認」、Map画面上の範囲内に表示されたユーザーに対して発話できる「Map通話」、他の企業のユーザーと通話ができる「企業間通信」、グループに所属するユーザーのBuddycomアプリを強制的に起動する強制起動など。

 これに映像配信機能として、現場の状況をライブ動画で共有しながらグループ通話ができる「ライブキャスト」、エンタープライズ機能として、通話した音声がテキスト化される「音声テキスト化」、通話した音声が設定した言語に翻訳される「トランシーバー翻訳」などが加わる。ライブキャストや音声テキスト化は国内特許登録済み、PCT国際出願済みのBuddycomだけの機能だ。インターネットが使えれば世界のどこでも利用可能。現場でどのように使われているのかは、後ほど登場する事例を見ていただきたい。

 Buddycomは、今後も進化を続けると平岡社長は約束する。「そのために、多くのエコシステムパートナーと連携を強化しています。パートナーのシステムにBuddycomを組み込むことも可能です」。

 現場に必要となる全ての情報はBuddycomに集約され、デスクレスワーカーのコミュニケーションが改善。負担が軽減され、生産性が向上する──。それがサイエンスアーツが描く現場の未来だ。