コロナ感染予防対策の一律加算が終了 10月以降の医療費はどう変わったかPhoto:PIXTA

ようやく落ち着いてきた新型コロナウイルスの感染状況。実は10月から、コロナ関連の医療費を取り巻く支援制度のいくつかが変更になる。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第230回では、コロナ関連医療費や診療報酬加算がどのように変わるのか、その制度の内容も含めて詳しく解説しよう。(フリーライター 早川幸子)

緊急事態宣言解除、医療費の特別措置も「正常化」へ?
知っておきたい、10月からの医療費補助の変化の内容

 日本の新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率(2回目)が、10月12日現在で、65歳以上が89.8%、全年齢は64.8%に達した。日本で暮らしている人の半数以上がワクチンを接種したこともあってか、同日の新規陽性者数は611人まで減少。2万5866人を記録した8月20日に比べると、感染状況はかなり落ち着きを見せている(データは、首相官邸、厚生労働省のHPより)。

 今後も新たな変異株の出現などによって、再び感染が拡大する恐れもあり、油断はできない。だが、9月末で緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が全国的に解除され、社会生活を正常化していく道が探られている。

 実はあまり知られていないが、医療費の面でも変化が出てきている。というのも、コロナ禍の影響で行われていた特例措置が9月末で見直されたからだ。このため、一般の人の自己負担額にもわずかながら影響が出ている。

 そもそもコロナ禍で、医療費はどのような特例措置が取られてきたのか。そして、10月以降、これがどのように見直されたのか。この機に確認しておこう。

 まず国直轄の補助金である。2020年12月末、日本列島に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第3波が襲来し、医療の提供体制は日を追うごとに逼迫し始めた。

 コロナ患者の受け入れ病床と医療スタッフを確保するために、国は緊急支援事業の実施を決定。新たにコロナ病床を確保してくれる医療機関に対して、1床当たり、重症患者向けが最大1950万円、中等症以下は900万円の補助金を支払うことを発表した。通常の医療費に加えて、特例的な補助を行うことで、医療機関に対してコロナ病床の増加を働きかけたのだ。

●感染対策をしている全ての病院での加算は9月末で終了に、患者の自己負担もなくなる
●発熱外来設置病院や自宅療養者向け往診診療所などに手厚い加算が出るように