パウエルFRB議長インフレ率と失業率のいずれも高い状況であれば、FRBは利上げするかという困難な決断を迫られる可能性があると言及したパウエルFRB議長 Photo:Kevin Dietsch/gettyimages

FRBは11月にテーパリング開始
来年の利上げ開始を意味せず

 11月2日、3日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、月額1200億ドルの資産買入の縮小(テーパリング)が決定されるだろう。9月22日のFOMC声明文には、「資産購入ペースの減速が近く正当化されると委員会は判断する」との予告が記されていた。また、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、9月FOMC後の記者会見で、資産買入の終了時期について、2022年半ばまでに緩やかに終了することを示唆した。

 しかし、テーパリングが2022年半ばに終了したとしても、2022年中に利上げが始まることを意味するわけではない。パウエルFRB議長は、9月のFOMC後の記者会見で「テーパリングは利上げのタイミングについて直接的なシグナルを送るものではない」と述べた。

 また同議長は、2022年の利上げ開始を予想するFOMCメンバーが全体の半数いる点について、「利上げを予想する参加者は、より低い失業率を想定している」と指摘。FOMCメンバーの経済見通しの幅が広いことに触れて、2022年の利上げ見通しに市場が過剰に反応することをけん制した。

 FRBが利上げを急がなければ、米長期金利の上昇も緩やかに止まるとみられ、米国株の下落リスクは小さくなるだろう。