“教育付加価値日本一”を目指す金沢工業大学のフラッグシップとして、2004年に開設された「K.I.T.虎ノ門大学院」(K.I.T.=Kanazawa Institute of Technology)。実務実践を重視する社会人向けの大学院として、着実に評価を高めている。「知的創造システム専攻」「ビジネスアーキテクト専攻」の二つの専攻を擁し、専門的知識やスキルの修得と人的ネットワーク作りに真価を発揮。そのK.I.T.虎ノ門大学院の修了生である松井正寛氏と在学生の青山大蔵氏は、現在共にメディア・コンテンツ業界に身を置いている。また今回はファシリテーターに、元「広告批評」編集長の河尻亨一氏を迎えし、お二人のK.I.T.での学びの実際と、社会人大学院へ進学する意味と価値を聞いた。

自分の弱みを解消し、
活躍の場をさらに広げたい

河尻 まずお二人の自己紹介からお願いします。現在のお仕事とK.I.T.への進学理由を教えてください。

松井 英国の公共放送、BBCの子会社であるBBCワールドジャパンでニュースの販売をしています。営業先はホテル部門、具体的にはホテルの客室でBBCニュースを見られるようにすることです。

 K.I.T.では「知的創造システム専攻」で学びました。今後、自分のキャリアをどう伸ばしていこうとかと考えたとき、著作権等の知財に関して知識がないことに気が付き、進学を決意。映像コンテンツを取り扱っていると、著作権などの知財権利が重要な問題となります。しかし、この分野の営業職には知財・著作権の知識を持つ人が多くはなく、知財の専門知識を高めることで、メディア業界でより大きく活躍できる下地が整うのではと考えました。

青山 私は「ビジネスアーキテクト専攻」に在学中です。現在、ハリウッドメジャーを中心とする映画宣伝会社の取締役をしており、経営管理と新規事業開発が主な仕事内容です。私の場合、経営者としての知識を体系的に学びたかったというのが入学の理由ですね。数ある社会人大学院の中でもK.I.T.を選んだのは、尊敬する三谷宏治先生が教鞭をとっていたことと、自分のビジネス領域でもあるメディア&エンタテインメント分野の科目群と教員陣が充実していたからです。

 K.I.T.には、「知的創造システム専攻」と「ビジネスアーキテクト専攻」がある。前者は知的財産プロフェッショナルを育成するための専攻で、知的財産に関する実務や、その戦略的なマネジメントについて学ぶ。後者はビジネスパーソンとしてのキャリア構築力を目指し、メディア&エンタテインメント産業の経営と法務なども学ぶ。いずれの専攻においても講義のほかに自分の設定したテーマを徹底研究するゼミが開講され、1年間で論文もしくはリサーチペーパーを書き上げ、最終的に公聴会においてプレゼンを行う。

松井正寛氏
BBCワールドジャパン勤務 (30歳) 知的創造システム専攻 2012年3月修了
同志社大学文学部卒業。保険会社に3年間勤務した後、1年半ほどバックパッカーとなって世界を放浪。バンコクからロンドンまで、「沢木耕太郎の『深夜特急』のような旅をする」。帰国後、学生時代から志望していた報道関係の仕事、BBCワールドジャパンへ入社し、現在は営業職として活躍。修士研究のテーマは「インターネットとデジタル社会の進歩に伴う二次的著作物の利用に関する問題」。
青山大蔵氏
デジタルプラス取締役 (44歳) ビジネスアーキテクト専攻
2011年4月入学
甲南大学経営学部卒業。航空関連会社で営業をした後、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)に転職。ディレクTVの開業に携わった後、産業能率大学の総合研究所に。その後「ぴあ」の新規事業開発部門に移り、シルクドソレイユの日本招聘プロジェクトに参画。2011年にK.I.T.に入学。最近では渋谷ミニシアターの再生を目指す“渋谷真夜中の映画祭”の代表も務める。
今回ファシリテーターを務めた
河尻享一氏
元「広告批評」編集長、キュレーター、東北芸術工科大学客員教授。1974年生まれ、大阪市出身。早稲田大学政治経済学部卒業。「広告批評」在籍中には、広告を中心にファッションや映画、写真、マンガ、ウェブ、デザイン、エコなど、多様なカルチャー領域とメディア、社会事象を横断するさまざまな特集企画を手がける。現在は雑誌・書籍・ウェブサイトの編集から、企業の戦略立案およびPRコンテンツの企画・製作まで、編集・ジャーナリズム・広告の垣根を超えた活動を行っている。雑誌「ケトル」「日経トレンディネット」等で連載を持つ。