日本記者クラブ主催の党首討論会に登壇した与野党の9党首日本記者クラブ主催の党首討論会に登壇した与野党の9党首 Photo:JIJI

コロナ禍の総選挙スタート
問われる「三つの基本問題」

 菅義偉前首相の突然の辞任表明に始まり、自民党総裁選、首班指名、岸田文雄新首相の所信表明演説、代表質問と、目まぐるしく政治は動き、解散総選挙になった。

 新型コロナパンデミックの中で行われる今回の総選挙の争点は、傷んだ経済をどう立て直すか、そして疲弊した国民生活をどう支えるかだ。

 とりわけ、コロナ禍で改めて浮き彫りになった格差の問題をどう解決するのか、格差を生んだ一因でもある経済政策をどう変えるのか、そしてそれらの対策の財源確保を含め、すでに巨額の赤字を抱えている財政をどう立て直していくのか、それぞれ深く関係する「三つの基本問題」で、責任ある政策論争が求められる。

社会保障は
「政争の具」にしてはならない分野

 国民の生活を守るということでまず課題となるのは、コロナ禍のなかでその脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した医療提供体制の改革だろう。

 日本の医療制度は、患者の自由な医療機関受診(フリーアクセス)を医療保険制度で保障し、それを自由開業医制・自由標榜制による民間医療機関を中心とした提供体制で支えている。