コロナの感染拡大、経済活動自粛による困窮、他人とコミュニケーションできないことからくる孤独感や閉塞感、SNSによる誹謗中傷やバッシングなど、私たちは、いま多くの生きづらさを感じさせる事柄に取り囲まれています。そんな中にあって、毎日を心安らかに、できるだけ快適に生きていくためには、どうすればいいのでしょうか? 発達障害(ADHD)、うつ病など、生きづらさを抱えながらも精神科医として活躍するバク先生は、ツイッターでのつぶやきが共感・絶賛され、今、人気急上昇中。そんなバク先生の初の著書『発達障害、うつサバイバーのバク@精神科医が明かす生きづらいがラクになる ゆるメンタル練習帳』(ダイヤモンド社)が発売されました。同書の中には、生きづらさを解消するための実践的なヒントが詰め込まれています。本連載では、同書の発刊を記念してそのエッセンスをお届けします。心がスーッと軽くなる珠玉のアドバイスにお付き合いください。好評のバックナンバーはこちらからどうぞ。

人間の持つ飽きる心を利用して、恐怖や不安に打ち勝つすごい方法Photo: Adobe Stock

一発屋のお笑い芸人は、1年後に残っているか?

 人間は、正直どんな体験にも慣れるものです。

 今の環境を失ったら生きていけない! と強く信じていても、大災害によってその環境が崩れれば、1年後には別の環境でしんどいながらも、それなりに人生を送るようになります。

 一番わかりやすい例は、「一発屋のお笑い芸人の1年後」です。

 一発当てたお笑い芸人は、流行時は猫も杓子も、皆そのネタで盛り上がります。病院でも「今流行りの芸人さん」を私が知らないと、患者さんや看護師さんに笑われます。

 でも、同じネタの話を延々何年もしている光景を、私は見たことがありません。皆、それに飽きてしまうのです。

 これは、お笑いの話だけではなく、恐怖や不安に対しても同様です。

 なので「失敗が怖い」というその恐怖心も、何度も似たような体験を繰り返せば怖さが薄れます(これはPTSDの治療でも使われる手法です)。

 怖いと思う辛さを解決したい場合、あなたが怖いと思うことにあえて挑戦することが、解決への近道です。これは、本連載で繰り返しお伝えしたい、一つの真実です。