三井住友 名門「財閥」の野望#17Photo by Kazutoshi Sumitomo

住友の源流である別子銅山(愛媛県新居浜市)は明治時代、乱伐や煙害で荒れ果てたはげ山だった。そこから住友は「大造林計画」を実行し、100年かけて緑が生い茂る山に再生させた。その事業を受け継ぐ住友林業には今、脱炭素化の追い風が吹く。特集『三井住友 名門「財閥」の野望』(全18回)の#17では、光吉敏郎社長に令和時代の脱炭素戦略について聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)

国土の約800分の1の山林を保有管理
住友林業が担うグループの「役割」とは

――脱炭素への注目が集まっていますが、住友林業の取り組みについて教えてください。

 まず森林は、ご存じの通り光合成で二酸化炭素を吸収します。われわれは約4万8000ヘクタールの社有林を国内で管理していますが、適切な伐採期限が50~60年といわれるスギやヒノキは、その間ずっと二酸化炭素を吸収し続けています。

 次にそれが木材となり、建築や家具に使われる。これはHWP(伐採木材製品)といわれ、木材中に炭素を固定する効果がパリ協定でも認められています。木材を住宅やオフィスビル、病院などの公共施設に利用することで炭素を吸収するわけです。

 さらに、そこから出てきた廃材は、燃やして発電に使うこともできる。われわれは建築廃材や林地残材といった使われない木材を燃やすバイオマス発電所も運営しています。

 カーボンニュートラルの観点でいえば、炭素を吸収、固定することで地球温暖化防止に貢献している。もともと住友グループの中でもそういう役割を担ってきたという自負があり、(脱炭素に)非常に相性がいいと思っています。

――具体的な実績はありますか。