いま学校で起きている一大事、「教育の内容が変われば教室のカタチも変わる」ここ10年ほどの建て替えで構内の表情が一変した早稲田大学早稲田キャンパス(東京・新宿区)

新型コロナ禍で首相直々の休校要請がなされ、学校の現場が大混乱に陥ってから早くも1年半以上が過ぎた。コロナ禍はこれまで隠されてきたパンドラの箱を開き、根源的な問いかけを教育の現場に突きつけているようにみえる。今回は、校舎・教室・机という学校のハードウエアについて、教育ジャーナリストの後藤健夫さんが小中高と大学を比べながら語る。(教育ジャーナリスト 後藤健夫、ダイヤモンド社教育情報)

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新型コロナ禍で「机」の問題も浮上

 ちょうど1年前に、「オンライン授業は本当に対面授業に劣っているのか」という記事を書きました。当時、新型コロナ禍で学校が休校になった折には、授業をリモートに切り替えて行うよう学校は求められていました。

 とはいえ、一部の私立校を除けば、特に公立の小中高校では家庭学習の環境が整っていないところがほとんどでした。自分の子どもが自由に使えるパソコンやタブレットのような情報端末が自宅にない、子ども一人では情報端末をいじらせたくない、家庭のWi-Fiなど通信環境が脆弱(ぜいじゃく)だといった理由により、多くの学校では登校による対面授業が続きました。その際、「密」を避けるため、時間差登校や登校人数制限、教室定員を減らすといった工夫を教育現場では迫られました。

 このコロナ禍と並行して、政府のGIGAスクール構想が動いていました。小中学校では1人1台の情報端末を配布することになっていたのですが、まだまだ学校での利用には課題が多く、教員も児童生徒も「1人1台環境」には慣れていません。情報端末を配りながら、それは授業時間だけしか触ることを許されないという学校も少なくないです。なぜ家庭では利用させないのかといった疑問を抱くものの、今回はそこには触れずにおきましょう。詳しくは豊福晋平さんの連載記事をご覧ください。

「コロナが開いたパンドラの箱」、3回目となる今回のテーマは、校舎・教室・机という学校のハードウエアです。

 まずは学校の机から。いまの子どもが机の上に置く物は格段に増えています。親の世代と同じように、紙の教科書や資料集を机の上に広げますが、そのサイズは大型化しています。小中学校はB5版が主ですが、A5版と比べると面積は5割増しです。板書を写すのも紙のノートで変わりがありません。筆記具を置くスペースも限られてきますから、最近の筆箱は横置きではなく縦置きの物が登場しているほどです。

 普通教室用机の天板サイズは20世紀末にJIS規格が改正されたことで少し大きくなっています。昔の物は幅60cm×奥行き40cmでしたが、新規格ではこれが幅65cm以上×奥行き45cm以上と、広さは2割以上増しになりました。新校舎に合わせて高校生の机が大きくなったという開成の話が出ていましたが、既存の教材類と並行して、授業中に情報端末まで机の上で使うことができるのでしょうか。