もし、あなたの家族が「透析をやめたい」と言ったら?知っておきたい3つのポイント黒部市民病院腎センターの様子 写真提供:黒部市民病院腎センター吉本敬一所長(以下同)

2018年8月、公立福生(ふっさ)病院(東京都)で女性患者が腎透析を続けるために必要な手術を拒否したことで、透析が中止になり亡くなった件で、前編では全体概要をまとめた。もし、家族が強い意思で「透析をやめたい」と主張したら、どう考えたらいいか。私たちが知っておきたいポイントを3点にまとめる。(医療ジャーナリスト 福原麻希)

「透析をやめる」は地獄の苦しみ
2日以内で亡くなることも

 腎機能が低下した人は、透析装置によって血液をろ過して老廃物や過剰な水分を取り除かなければならない。医師からこのような透析治療の話をされると、ほとんどの患者は「もう何もできなくなる」とショックを受けてしまうが、日常生活で食事制限等はあるものの、職場の理解を得ることで仕事を続けられ、旅行や趣味などで人生を楽しむこともできる。

 一方、「透析をやめたいと思ったことがある」という患者は多い。複数の患者への取材から「毎回、シャント(透析装置へつなぐための出入り口)に針を刺すことへの痛み」「透析治療中の体調不良」「週3回、雪が降っても透析を受け続ける必要があること」など、つらさをこぼす声を聞く。