企業の障がい者雇用が、様子見から積極化へと本格的に変わり始めた背景当初は障がい者雇用について、どのように取り組みを行うべきか手探り状態だった企業関係者だが、今では状況がかなり変わってきているという(写真はイメージです) Photo:PIXTA

法定雇用率の引き上げだけではない
「企業成長」のための障がい者雇用

「障がい者雇用に本格的に取り組みたい」

 リクルートスタッフィングが運営する精神障がい者の方の人材紹介事業「アビリティスタッフィング」には、このようなご相談が増えています。

 背景の1つとしてあるのは、2021年3月の「障がい者雇用促進法」改正。民間企業における障がい者の法定雇用率が2.3%に引き上げられました。

 改正法の施行当初は、障がい者雇用に関してどのように取り組みを行っていけばいいのか、手探りの状態だった企業関係者も少なくなかったと思います。しかし、障がい者雇用を取り巻く状況は、今ではかなり変わってきています。障がい者雇用の現状を解説すると共に、企業がさらに実のある取り組みを続けていくためにはどうしたらいいか、そのヒントをお伝えしていきましょう。

 はじめに現状を見てみましょう。リクルートスタッフィングが2021年6月に行った「企業における障がい者雇用の実態調査」では、4割弱の企業が「今までよりも障がい者雇用数を増やす予定」と回答しています。

企業の障がい者雇用が、様子見から積極化へと本格的に変わり始めた背景出典:リクルートスタッフィング「企業における障がい者雇用の実態調査」
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 特に、これまでなかなか進まなかった「精神障がい」を持つ方の雇用に対しても、積極的な姿勢が見られます。また、すでに法定雇用率を達成している企業では、2.3%がゴールではなく、今後のさらなる上昇を見越して、障がい者雇用推進に取り組んでいることも事実です。

 実は、企業が障がい者雇用に積極的な理由は、法定雇用率の達成だけではありません。障がい者雇用を推進して良かった点を企業に聞いたところ、「従業員における障がい者への理解が深まった」「障がい者と一緒に働ける環境が整ってきた」「ダイバーシティが推進された」など、実に多くのメリットを実感していることがわかります。