トランプ氏過去への執着、共和党の脅威にPhoto:James Devaney/gettyimages

――筆者のジェラルド・F・サイブはWSJエグゼクティブ・ワシントン・エディター

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 選挙運動は(わずかでも成功したものは)、未来に関するものであり、過去に関するものであってはならないというのが政治家が持つべき信条だ。

 ドナルド・トランプはその格言をはき違えようとしており、身内の共和党メンバーの多くも、自ら一定の危険を冒しつつ追随している。

 トランプ氏は今年のバージニア州知事選と来年の中間選挙を自身に関する戦いとして位置づけようとしている。2020年の大統領選で勝利を奪われたとの根拠のない主張に共和党の関心を引きつけておくことが狙いだ。トランプ氏の主張を受け入れる、あるいは少なくとも反論を控えることは、トランプ氏の支持を取り付けたい共和党候補者のいわば「踏み絵」になっている。トランプ氏は集会で不満をぶちまけており、他の共和党メンバーへの支持は名ばかりだ。

 実のところ、トランプ氏は自身の唱える20年の選挙不正が「解決」されなければ、トランプ支持者は22年の中間選挙で投票しないとの考えまでにおわせている。共和党メンバーがトランプ氏の誘導されるがままになれば、党全体にとっては全米で数百万の有権者の票を失うことになりかねない。