岸田文雄首相福島市での演説で、国民の声を書き留めてきた「岸田ノート」を掲げる岸田文雄首相(10月19日) Photo;JIJI

岸田文雄首相が総選挙後に策定する経済対策の原案を独自に入手した。その中身を全5回にわたって詳報する。第1弾では「新しい資本主義」の原案を紹介した。この第2弾で紹介するのは、首相が未来を切り拓くとする「新しい資本主義」で地方活性化の核に位置づける「デジタル田園都市国家構想」だ。首相は経済を自律的な成長軌道に乗せることを目指すが、大規模な経済対策に期待する市場や国民は好感するのかは見通せない。(イトモス研究所所長 小倉健一)

独自入手した岸田内閣の経済対策原案で
「デジタル田園都市国家構想」の詳細判明

 新自由主義からの転換を目指す岸田文雄首相は、9月の自民党総裁選で公約した「成長戦略4本柱」の一つに、「デジタル田園都市国家構想」を掲げた。次世代通信規格「5G」の早期展開や地方のデジタルインフラ整備による「二地域生活」の振興を並べ、地方創生の目玉に位置付けてきたものだ。

「田園都市構想」は、岸田氏が率いる自民党の名門派閥「宏池会」の先達である大平正芳元首相が、人間と自然が調和する国づくりを目指して掲げたキャッチフレーズ。宏池会の所属議員らが昨年、デジタルトランスフォーメーション(DX)を加味した施策として「デジタル田園都市国家構想」をまとめ、岸田首相が目玉公約に据えた。

 首相は10月8日の所信表明演説でも「地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていきます」と述べている。5Gや半導体、データセンターなどデジタルインフラの整備を進め、国民がデジタル化のメリットを享受できるよう取り組む考えを示した。

 筆者が独自入手した経済対策の原案には、「地方においても大都市並みに仕事ができ、収入が得られ、楽しく幸せに暮らせるような『デジタル田園都市国家』の実現を目指す」と明記されている。

 では、具体的にどのような分野にどのような政策を実行していくのか。詳しく見ていこう。