毎年、秋になるとあちこちの百貨店で北海道物産展が開催される。

 北海道物産展は、人気の地域物産展のなかでも「断トツの規模と人気」(東京都内百貨店関係者)を誇る目玉催事だ。

 人気の理由は2つ。まず、農産・海産・畜産物に加えて、最近では菓子など加工食品が加わり、食べ物の種類が豊富なこと。次いで、東京から遠方の地域ほど希少性もあって人気が高いことがある。

 たとえば、東武百貨店では、地域物産展の売り上げ規模は、1位が北海道で2位が鹿児島だが、北海道物産展は2週間で5億円強と鹿児島の2倍以上を売る。

 その目玉催事の北海道物産展が、今年9月は東京・新宿で三つ巴になる。

 例年、各百貨店は暗黙のうちに会期を微妙にずらすことで、テナント出店を調整してきた。ところが、今年は伊勢丹と京王百貨店と小田急百貨店の会期がぶつかるのだ。伊勢丹と京王百貨店は9月2日からの1週間、小田急百貨店は9月1日からの2週間である。

 背景には、昨年9月以降の売上高の苦戦を、催事で補おうとする百貨店側の動きがある。日本百貨店協会によると、5月の東京の百貨店売上高は前年同月比で14%減。こうした常設売り場の売り上げの落ち込みを補うべく、人気催事は拡大の方向にある。また、道内経済の落ち込みで、道外に商機を求める北海道側からのアプローチもあるという。

 京王百貨店では、北海道物産展は例年秋だけの年1回だったのを、今年は春と秋の年2回開催にした。小田急百貨店は、昨年は1週間だった会期を2週間に拡大した。

 百貨店業界関係者によると、水面下では出店テナントの奪い合いが生じているという。目玉テナントは生キャラメルで知られる花畑牧場だそうで、「前回開催時には正面入り口で整理券を配布したほど」(京王百貨店)だったという。今回、三つ巴となった新宿のどの百貨店に出るか、見ものである。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)