国会議事堂現実から乖離した政府の景気判断は、細かな下方修正を続けても進退窮まっているのではないか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

持ち直しが続きテンポが弱まる?
政府の10月の景気判断

 政府は、10月の月例経済報告で、景気の現状を「新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか」と予防線を張った上で、「持ち直しの動きが続いているものの、そのテンポが弱まっている」と判断している。

 残念ながら、この判断は、景気の水準・方向どちらの面でも現実と乖離しているように思える。景気の水準については、雇用、消費、設備投資など景気に遅行する経済活動が、まだコロナ前の水準を回復していないことは事実だが、一方で、輸出や生産など景気に一致する活動ではコロナ前の水準に戻っている。「厳しい状況にある」という表現を一度つけてしまうと、それを外すのがなかなか難しいことは想像できる。しかし、いつまでも同じ表現を使い続けるのは適当ではない。

 方向の判断はさらに問題だ。景気は持ち直しどころか、足踏みから後退に転じている状況だろう。月例経済報告の基調判断を見ると、2021年2月以降、少しずつ下方修正されている。