大阪府 国立民族学博物館大阪府の国立民族学博物館 Photo:PIXTA

芸術の秋たけなわである。緊急事態宣言が解除され、ミュージアムや演劇、コンサートも通常通り開催されることが増えている。2年近い自粛生活に終わりが見えてきた。これを機会に、大いに芸術に親しむことで、自粛疲れを癒やすだけでなく、ビジネスパーソンとしても成長する機会としたいものだ。(著述家 山中俊之)

ビジネスパーソンに
今こそ求められるリベラルアーツ

 筆者はこの数年、企業の経営候補者であるビジネスリーダーに、リベラルアーツに関する研修をする機会がとても増えている。変化の激しい時代、世界の行方やビジネスの行方が見えにくい中、リベラルアーツからヒントをつかむことが重視されている。

 リベラルアーツ研修では、世界や日本の歴史、宗教や哲学、芸術、科学などを多面的に扱う。それら相互の関連性から人や社会の本質をつかみ、リーダーとしての見識を高めてもらうことが目的である。

 歴史や哲学、宗教に関する書籍を事前に読み、感想をまとめてもらい、研修ではリーダーとしてのあり方を議論してもらう。その場で絵画や音楽に触れて、気付きを共有することも多い。

 それらを通じて感じるのは、多くのビジネスリーダーが必ずしも日常的に芸術に触れていないという現状である(もちろん例外はある)。月に3~4回程度ミュージアムに行ったり、演劇を1~2カ月に1回ほど見たりしている人は、多くて2割程度ではないか。

 大変にもったいないと思う。