ANAホールディングスと日本航空(JAL)は、ライバル関係にもかかわらず、“共闘体制”を組んでSAF対策に臨んでいるANAホールディングスと日本航空(JAL)は、ライバル関係にもかかわらず、“共闘体制”を組んでSAF対策に臨んでいる Photo:Tomohiro Ohsumi/gettyimages

代替燃料への投資は
航空業界の勢力図を変える

 COP26(国連気候変動枠組条約締約国会議)が10月31日からイギリス・グラスゴーで開催された。企業にとって、環境問題に取り組むことは、現実的に死活問題となっている。特に航空業界ではそうだ。近年では「フライト・シェイム」(飛び恥)という汚名も着せられている。

 確かに、LCC(ローコストキャリア)の台頭・活躍によって、航空需要は飛躍的に増え、それに伴ってCO2排出量も右肩上がりだった。今でこそコロナ禍で便数が減った結果、CO2排出量は抑えられているが、航空需要がいずれ回復すれば、CO2排出量も再び増加するはずだ。航空業界が汚名を着せられるのも致し方ないだろう。

 航空会社は世間に明確に、CO2排出量を抑制する姿勢を示すことが必要不可欠となっている。これは、あながち負担ばかりではない。航空会社にとって、中東情勢に左右されがちな石油を中心とした従来型の燃料依存から脱却し、より自律的な経営を行えるようになるというメリットがある。航空会社のコストの大半を燃料費が占めるからだ。したがって、代替燃料への投資(開発を含む)は、今後の航空業界の勢力図を大きく変える可能性があるのだ。

 航空会社はどこも長期にわたる需要の低迷によって危機的な状況にあり、代替燃料への投資を十分に行う余力がない。だからこそ、逆張りで積極的に取り組み、他社に先んじて導入できれば、今後の国際競争において優位に立つことができるだろう。

 それでは、日本の場合はどうか。