みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#14では、みずほが起こした最初の大規模システム障害で見えた巨大銀行が直面する「3大地獄」を浮き彫りにする。(1)「公共性」の呪縛、(2)システム障害「ドミノ倒し」リスク、(3)子会社銀行が責任押しつけ合う持ち株会社の無力、以上三つについて詳報する。

「週刊ダイヤモンド」2002年5月25日号特集「みずほ漂流銀行」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

3大地獄(1)「公共性」の呪縛
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 3行統合による「みずほ誕生」直後に起きたシステム障害で、最も手厳しくみずほを批判したのは、東京電力だろう。4月1日からの1カ月間で延べ221万4000件、じつに505億円分の電気料金の引落しが遅れる被害が発生した。しかも、みずほは東電が二度にわたって依頼した実際の顧客データによる事前テストを拒否した経緯がある。南直哉・東電社長は、怒りのあまり記者会見でみずほトップの経営責任にまで言及した。

 だが、被害者であるはずの東京電力が、同時に今回のシステム障害の遠因であったという見方もできなくはない。