決算書100本ノック! 2021冬#9Photo: SOPA Images/gettyimages

カプコンの業績が絶好調だ。デジタル販売比率の上昇に加えて、見逃せないのが旧作販売比率の高まりである。コンテンツの長寿命化により、開発投資の水準と比較して高い売り上げを生み出しているのだ。特集『決算書100本ノック! 2021冬』(全16回)の#9では、カプコンの旧作エコシステムを解剖する。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)

デジタル販売の浸透だけでない
カプコン独自の強みとは

 昨年来、巣ごもり特需の影響でゲーム業界が好業績に沸いている。中でも、顕著な伸びを見せるのがカプコンだ。

 ゲームの総販売本数は、2015年3月期の1300万本を底に右肩上がりで増加し、21年3月期には3010万本を記録。同期の営業利益は345億円で8年連続の増益を達成した。

 なぜ、カプコンの業績がこれほど好調なのか。

 要因の一つは、ここ数年で一気に浸透したゲームの「デジタル販売」だ。デジタル販売は購入者がインターネットから直接ダウンロードするため、ディスクの製造コストや流通コストなどがかからない。従来のパッケージ販売に比べて利益率が高く、ゲーム各社が高利益の恩恵を受けているのだ。

 カプコンの足元のデジタル販売比率は76%にも上り、成長の原動力になっている。だが、これはカプコンに限らず業界共通のトレンドだ。

 実は、カプコンの成長の理由は別のところに隠されている。その強みが表れている指標を決算書からひもといてみよう。ポイントは、「ゲームソフト仕掛品」という決算科目だ。