毎日、何気なく、お風呂に入っていませんか? そうだとしたらもったいない!「疲れ」や「痛み」に最も効く究極の入浴法を解説した「医者が教える小林式お風呂健康法」の著者であり、自律神経や腸の研究の第一人者である小林弘幸先生(順天堂大学医学部教授)が、本書の中から、知られざるお風呂の力や、ちょっと変えるだけで、ぐっと効果が高まる入り方のコツなどを紹介します。

【11月26日は「いい風呂の日」(1)】<br />自律神経の名医が教える<br />疲労や痛みを撃退する<br />「究極の入浴法」とはイラスト:伊藤美樹(「医者が教える小林式お風呂健康法」より)

究極の入浴法 STEP1は全身浴から

 お風呂の効果を最大化する「小林式の究極の入浴法」の、基本は3ステップからなります。

STEP1 湯船につかる(全身浴で約1分)

STEP2 バス・ストレッチ(お風呂の中で行う自律神経に効くストレッチ)を行う(半身浴で約10分)

STEP3 瞑想をする(半身浴で約3分)

 という流れです。

お湯の温度は39~40度で効率よく全身を温める

 まずは、全身浴で約1分体を温めます。湯の温度は39~40度くらいがベスト。そしてSTEP2で半身浴に変えます(バスタブには半身浴ができる程度のみぞおちあたりまでお湯をはっておけば、体の角度を変えることで全身浴と半身浴を両方できます)。

 これが、最も血流を流し、副交感神経の働きを高めるのに効果的。しかも直腸の温度を上げすぎず、体の深部体温が適温に保たれるので、お風呂から出た後も血流のよい状態が持続します。

 直腸の温度というのは、健康管理をするうえで非常に大切です。手術中の体温管理は主に直腸でなされますが、体温管理が適正であるほど、固形物を食べられるまでの期間や、抜糸までの期間が早まる、つまり元気になるのが早いという論文も発表されています。

 42度以上の熱いお湯は、交感神経を急激に刺激するため、自律神経のバランスが乱れます。また、料理をする方なら想像しやすいと思いますが、揚げ物を高温で揚げると中まで火が通りませんよね。熱い湯もそれと同じ。皮膚に近い直腸温度を過剰に高めてしまううえ、体の内側が充分温まりません。

 全身浴をするときは、お尻を前方にずらして座り、肩までつかるようにしましょう。顔が上を向き、気道が広がるため、呼吸がしやすくなります。呼吸は「ゆっくり深く」を意識しましょう。両肘をバスタブの底につくと、体が安定します。

 STEP2以降は次回の記事で説明いたします。

監修/小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授
日本スポーツ協会公認スポーツドクター。スポーツ庁参与。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部卒業、同大学院医学研究科を修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務後、順天堂大学小児外科講師・助教授を経て現職。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンスの向上の指導などに携わる。また、順天堂大学病院に日本初の便秘外来を開設した“腸のスペシャリスト”としても知られる。日常生活を少し変えるだけで、大きく健康効果が出る方法を、メディアを通じて発信し続け、『医者が考案した「長生きみそ汁」』(アスコム刊)『死ぬまで歩くにはスクワットだけすればいい』(幻冬舎刊)など、ベストセラー著書も多数。