岸田首相原油価格の急騰で、世界的にスタグフレーションの懸念が強まっている。アベノミクスの二番煎じの経済対策は、新たな状況からずれたものだ Photo:Pool/gettyimages

忍び寄る新たな危機
コロナ禍残る中で物価急騰

 日本の2021年7~9月の実質GDP成長率が、年率換算でマイナス3%に落ち込んだ。

 世界では、コロナ禍で半導体などのサプライチェーンが壊れたことに加え、金融緩和による資金が投機マネーとなって石油や穀物価格の高騰をもたらし、物価が上昇するのに不況に陥る世界的なスタグフレーションの様相を示している。

 実際、春ごろから急上昇してきたアメリカのCPI(消費者物価指数)は直近の10月には前年同期比6.2%増と、31年ぶりの上昇幅になった。

 中国の生産者物価指数も13.5%の上昇と、過去最大の伸びを記録した。ユーロ圏も10月の消費者物価上昇率は4.1%(9月は3.4%)で、2008年以来の13年ぶりの高さだ。

 欧米に比べてコロナ禍からの経済回復が遅れる日本は、へたをすればスタグフレーションの状況に真っ先に陥ることになりかねない。