富裕層と同じ資産運用をしてももうからない一般投資家の「悲しき格差」の正体Photo:PIXTA

「富裕層のお金の使い方」の特徴について解説した前回に続き、長年、富裕層の資産管理を行ってきた筆者が、富裕層の資産運用における特徴について解説します。なぜ、お金持ちはよりお金持ちになり、一般の投資家と格差が拡大していくのでしょうか。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭) 

なぜお金持ちとの差は
どんどん拡大していくのか

 今回は、『本当の富裕層が必ず実践している「お金の使い方」3つの鉄則』に続いて、富裕層の「資産運用」について、お話ししたいと思います。

 富裕層と一口に言っても、「昔ながらの不動産主体の地主」と「一般の事業法人の経営者」では、資産構成がかなり異なります。特に、地主の多くは総資産に対する現預金などの流動資産の比率がおよそ10%前後です。つまり、10億円の資産を持っていてもそのうち9億円は不動産で、現預金などは1億円ということです。

「なんだ、1億も持っているのか、お金持ちじゃないか」と感じるかもしれませんが、そうではありません。家族構成にもよりますが、このクラスになると相続税が実質税率で10~40%程度かかります。よって、少なく見積もっても現預金が相続税で全て消えてしまう人たちなのです。

 そこで不動産系地主は、比較的多様な資産運用をしているケースは少ない(総資産10億円を超える規模の地主は別ですが)ため、今回も創業経営者についての資産運用に関するお金の使い方についてお話ししたいと思います。

 お金持ち専用のスペシャルな資産運用が用意されていると思うかもしれませんが、実はそんなことはありません。自分専用の仕組債(デリバティブを使った特殊な債券)を組成したり、取引証券会社からIPOの株を人よりも多く割り当てられたりすることはありますが、運用手段に関しては「株・債券・不動産』自体は一般の投資家と大差のない商品で運用しているのが実情です。

 では、なぜ金持ちはより金持ちになって、そうでない人との格差が拡大していくのでしょうか。