中古住宅の購入時は要注意!「建物状況調査制度」の落とし穴とは写真はイメージです Photo:PIXTA

中古住宅市場活性化に向け
新設された「建物状況調査」制度

 中古住宅取引が好調だ。戸建て、マンションとも価格は上昇し、リフォーム市場も拡大傾向にある。コロナ禍で持ち家志向が高まる一方、高騰する「駅前・駅近・駅直結」「大規模」「タワー」といったワードに代表される物件に人気が集中、相対的に割安な新築物件が激減したことも影響しているだろう。

 しかしながら海外に比べ、日本における既存(中古)住宅流通シェアはまだまだ低い水準にとどまっている。そこで国土交通省(国交省)は2018年、宅地建物取引業法を一部改正、安心・安全な中古住宅の取引を目的とした建物状況調査、いわゆるインスペクションと呼ばれる調査をスタートさせた(https://www.mlit.go.jp/common/001219900.pdf)。

 これは住宅に精通した建築士が、物件の劣化を含めた現状や建物のコンディションをチェックし、報告書にまとめた上で買い主に提示する制度である。

 国交省はインスペクションの導入により、買い主、売り主双方にメリットがあると説明する。売り主は売買取引前に物件調査を行うことで引き渡し後のクレームを回避でき、購入者に安心感を与えられるからだ。ひいては競合物件の差別化にもつながるという。