生前贈与#16Photo:PIXTA

贈与税や相続税を節税できる生前贈与術のうち、国が用意した代表的な優遇制度である「一括贈与」の三つの特例と、配偶者への自宅贈与に適用される「配偶者控除」の活用は基本中の基本だ。特集『生前贈与 駆け込み相続術』(全19回)の#16では、その活用術を伝授する。2022年度税制改正大綱により一部制度の変更の方針が発表されたので、確実に押さえておきたい。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)

余命宣告を受けたときに役立つ
「教育資金一括贈与」の活用術

「一括贈与」の三つの特例のうち、まず「教育資金一括贈与」は、孫・ひ孫など直系卑属が通う各種学校や塾などの学費、留学費用といった教育資金への一括贈与を1500万円まで非課税にできる特例だ。

 だが、本特集#2『「生前贈与」5分でわかる基本のキ!「世代飛ばし」と長期計画でメリット絶大』で見たように、そもそも孫などの教育費や生活費を祖父母が“必要な都度直接”負担する場合は、原則として贈与税は課せられない。

 この特例の出番は、例えば生まれたばかりの赤ん坊に「将来の教育資金をまとめて渡したい」といったケースや、余命宣告を受けたときなどの相続税の駆け込み対策が必要な場合となる。

 特に人気なのが相続税対策。贈与者(贈与した祖父母など)が贈与の直後に死亡しても、受贈者(贈与を受ける人)が23歳未満であったり、在学中であったりすれば、相続発生時に使い残しがあっても相続税の課税対象とならないからだ。孫やひ孫の年齢を頭に入れつつ生前贈与すれば、大きな節税効果が期待できるわけだ。

 次ページには、残る一括贈与の特例を説明と併せて、三つの特例の非課税枠や適用条件などをまとめた一覧表を掲載する。特に「住宅資金贈与」は、2022年度税制改正大綱により非課税枠や適用条件の大幅な変更方針が示されたので、要チェックだ。