みずほが、不祥事を何度繰り返しても生まれ変われず、金融庁に「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」と企業文化を酷評されるに至ったのはなぜか。その真相をえぐる本特集『みずほ「言われたことしかしない銀行」の真相』(全41回)の#20では、2004年にみずほで起きた金融庁検査の内容流出事件を取り上げる。

みずほ内部でもごく限られた人間しかアクセスできない、金融庁による検査の内容がマスコミに流出した。この情報流出が、みずほ旧3行の内紛によるものではないかという説が駆け巡るところに、みずほの闇深さが垣間見える。

「週刊ダイヤモンド」2004年3月20日号の「インサイド」を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

検査内容流出で問われる
みずほ銀行情報管理の杜撰

  頭取交代をめぐって旧行の対立が繰り広げられたみずほ銀行(詳細は本特集#19『みずほ銀行、システム障害の反省を2年で忘却…唐突すぎる頭取交代で旧3行の権力闘争再燃』を参照)で、今度は金融庁検査の内容が一部マスコミに流出、情報管理の甘さが浮き彫りになっている。

 流出したのは、昨年2003年12月の「出口協議」と呼ばれる場で金融庁側が指摘した事項。みずほ銀行に対し、自己査定の甘さや繰り延べ税金資産の過大計上などを指摘。証券外務員に未登録の行員が、投資信託を販売したケースがあったことにも触れたと見られる。そのうえで金融庁は、企業風土の刷新や経営体制の見直しを求めた模様だ。

「検査の指摘が厳しいのはどこも同じ」というのが金融界の“常識”だが、みずほ銀行は、1年前の金融庁検査でも、「組織の体をなしていない」と指摘されており、経営陣のリーダーシップの欠如は、早くから懸念事項だったといえる。

 だが、今回、大きな問題となっているのは、検査内容が漏れたという点である。金融界では異例のことだけに、「誰が」「なんのために」という疑問が浮上している。