「今の会社で働き続けていいのかな?」「でも、転職するのは怖いな……」。働き方が大きく変わるなか、そんな悩みを抱える人は多いだろう。高卒から、30歳で年収1000万円超という驚きの経歴をもつ山下良輔さんは、そんな「転職迷子」たちから圧倒的な支持を得ている。山下さんは出版した初の著書『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』で、自らの転職経験を全て公開している。
その戦略は「外資系やコンサル業界は、学歴エリートでなくても入れる」「職歴に一貫性はなくてもいい」など、これまでの「転職の常識」を塗り替えるものばかりだ。どうしたら人生を変える転職ができるのか、どうしたらいい会社選びができるのか。この連載では本書より一部を特別に公開する。

頭がいい人と悪い人「経験したことがない仕事」への対応に現れる差Photo: Adobe Stock

転職したい業界のことを、何も知らなかったら?

 スバル時代の僕は、恥ずかしながらコンサルティング業界のことはほとんど何も知りませんでした。「プロジェクト単位の仕事ができていいな」「深夜まで働いていて体力が必要そうだな」というような圧倒的な解像度の低さでなんとなく業界をとらえていたのです。もちろんフレームワークの使い方も知らなかったし、応募条件として何が求められているのか、深く考えたことがありませんでした。

 そんな僕がやったのが、大手の転職サイト(リクナビNEXT、dodaなど)にコツコツアクセスしては「コンサルティング業界の求人票にひと通り目を通す」という方法です。書いてある内容、用語が理解できなくても、100本ノックのようにとにかく次から次へと求人票を見続けると「応募資格・応募条件」に書いてある内容がだいたい同じであることに気づいたのです。100枚くらいを見ると、その業界で求められているスキル・経験や、使えるといいシステム、必要な資格などがかなり詳細に見えてきます。なお、100枚と書いた理由は、たくさん見ないと自分がチェックした求人票が業界で一般的なのか特殊な例なのかが読み取れないからです。

 例えばコンサルティング業界であれば、「PMO」「BPR」「ERP」といった用語が頻繁に出てきますし、IT企業であれば、「Python」「PHP」などのプログラミング言語が使えると有利なんだな、とわかります。ここまでやって初めて、応募条件に対して、自分には何が足りないのかが明らかになるのです。

 ちなみに、異なる職種・業界への転職だと「応募条件」に書いてある内容がさっぱり理解できない場合があります。次の3つは実際にコンサルティング・ファームの求人票に書いてあった内容ですが、過去に業界で働いたことがなければ、ちんぷんかんぷんだと思います。

・コンサルティング・ファームで、SIプロジェクト(要件定義~運用等)に参画した経験
・事業会社におけるビジネスプロセス全般の改革経験
・企業価値評価業務・各種デューディリジェンス業務

 でも、仕事をやったことがないから用語がわからないのはあたり前のこと。ここで応募するのをやめる必要は全くなく、ネットや本で用語を調べればいいだけです。そして、自分がやってきたことと結び付けるか、今からその経験を積み上げるか、どちらかの選択肢をとればいいのです。

 この時点で、ただ「わからないからあきらめる」と考えてしまう人とは、大きな差が生まれます。

 なお、「求人票100本ノック」は、職種・業界を変えない場合にもやっておくことをおすすめします。仮に業界知識は十分にあって、転職先の仕事が今の仕事内容と似ているとしても、「どんな条件の人が優遇されるのか」を把握しておくことが合否に直結するからです。むしろ同じ職種からの転職の場合、「求められている条件を満たしているか」はさらに厳しく見られると思ったほうがいいです。

※この記事は『転職が僕らを助けてくれる――新卒で入れなかったあの会社に入社する方法』からの抜粋です。