中学2年から株ひと筋で、株式投資歴30年以上のベテラン専業投資家、かぶ1000が『賢明なる個人投資家への道』を著した。中学時代から体育のジャージ姿で地元の証券会社に通い詰め、中高年の投資家にかわいがられ、バブル紳士にお金儲けのイロハを教えてもらった。中学3年生で300万円、高校1年で1000万円、高校2年生で1500万円へと株式資産を増やす。会計系の専門学校卒業後、証券会社の就職の誘いを断って専業投資家の道へ。2011年に“億り人”になると、2015年に3億円、2019年に4億円を突破。アルバイト経験さえない根っからの個人投資家が、学校では絶対に教えてくれないお金の知識と増やし方を徹底指南する。

【就職したことがないのに株式投資で4.5億円!】<br />実は日本株への投資こそ最強

日本のバブル期の株価をどう見るか?

ここで改めて、アメリカと日本の主要な株価指数の過去のトラックレコード(運用実績)を見てみましょう。

ニューヨーク・ダウと日経平均株価は、過去72年間の運用実績、ナスダック総合指数は1970年にスタートしたので、51年間の運用実績となります。

●ニューヨーク・ダウ
【1949年】177ドル → 【2021年】32627ドル(72年間 複利7.5%)
●ナスダック総合指数
【1970年】101P → 【2021年】1万3215P(51年間 複利10.04%)
●日経平均株価
【1949年】175.97円 → 【2021年】2万9792円(72年間 複利7.4%)

近年は日本でも、米国株に投資をする個人投資家が増えています。

ナスダック総合指数は複利換算で10%ほどの利回りがあり、元手が5年で1.6倍、10年で約2.6倍、20年で約6.7倍になる計算です。

ニューヨーク・ダウと日経平均株価の利回りは、7.5%と7.4%とほぼ同等になっています。長期で見ると、日本株も米国株に負けず劣らず頑張っているのです。

次の図表を見るとわかるように、ニューヨーク・ダウとナスダック総合指数はだいたい右肩上がりの曲線を描いています。

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それに対して、日経平均株価はバブル期の急上昇と、その後の下落の落ち込みが大きすぎるので、バブル崩壊以降は一本調子で右肩上がりになっているわけではありません。

それは、バブル期の山とバブル崩壊後の谷が大きすぎたためなのです。

インデックスの利回りは日米ともに7%ほどですが、日本のバブル期のように年30~40%も上昇して高い山をつくるのは、5~6年分の利回りをいわば「前借り」しているという状況になります。

そのため「前借り」分の反動で谷が深くなってしまい、山が高いほど回復が遅れる傾向があるのです。

これは2000年のITバブルとその崩壊を経験したナスダック総合指数にもいえることです。

2015年6月まで、ナスダック総合指数は「前借り」分の反動により、約15年間ピークの高値を超えることができませんでした。

日経平均株価やナスダック総合指数のようなバブルがなかった分だけ、ニューヨーク・ダウは緩やかな右肩上がりの曲線を描いています。

日経平均株価とナスダック総合指数も、それぞれのバブル期の山を無視して曲線を描くと、細かな上下動はありつつ、全体としては緩やかな右肩上がりのラインが見えてきます。

これら3つの株価指数の運用実績を比べると、ナスダック総合指数がもっともパフォーマンスがよいことになりますが、話はそう単純ではありません。

米ドルと日本円の為替レートを勘案していないからです。

戦後から1973年までは、1ドル=360円という「固定相場制」でした。ですから、運用実績の出発点である1949年から24年間は、1ドル=360円だったのです。

その後、「変動相場制」に移行し、為替相場は金利差やインフレ率などによって日々変動するようになり、2021年は1ドル=110円前後で推移しています。

つまり2021年時点で、1949年と比べて日本円の価値は3倍以上になっているということです。

それを踏まえると、実はナスダック総合指数よりも、日経平均株価のほうがパフォーマンスは高いのです。

ネットなどでは「米国株のインデックスファンドが最強」という意見もありますが、私は日本株への投資こそ最強だと思っています。

そう考えているのは、私だけではありません。「日本株は安すぎる」「まだ成長の余地がある」という外国人投資家も多いのです。

その証拠に日本株のおよそ3割は外国人投資家が保有しており、現物市場の外国人投資家の売買シェアは最大7割に達しています。

日本の株式市場を動かしているのは、日本人ではなく、外国人投資家であるというのが実態なのです。

その状況を変えるためにも、もっと多くの日本の個人投資家が株式投資に参加して、最強の日本株を買うべきではないかと私は思っているのです。