総予測2022#自動車写真撮影:三橋仁明_N-RAK PHOTO AGENCY

2021年の自動車産業は電気自動車(EV)一色だったといっていい。世界の主要自動車メーカーはこぞって強気なEV投入計画をぶち上げており、その極めつきはトヨタ自動車のEV大投資計画である。ところが22年の自動車業界では、早くも「EV一辺倒からの揺り戻し」が起きそうな気配になっている。その理由はどこにあるのか。特集『総予測2022』の本稿では、22年の自動車業界の明暗を分ける鍵を大胆に解説していこう。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

米中欧に続きトヨタも「EV大方針転換」
それでも揺り戻しが起きる理由

 2021年の自動車業界は、電気自動車(EV)シフトの話題で持ちきりだった。

 20年以降、欧州が世界に先行して脱炭素社会をリード。欧州の自動車産業はガソリン車からEVへ一気にかじを切ることで、日米の自動車メーカーより早く電動化を急ぎ、ゲームチェンジャーとしての先駆者利益を得ようと暗躍してきた。

 もともと日系メーカーほどにはハイブリッド車を上手に造れない中国は、EVへの移行を急いでいた。そこにEVを担ぐ米バイデン政権が誕生。米欧中のEV推しが固まったことで、電動車の主役は「EV一択」になっていったのだった。

 極めつきが、日本のトヨタ自動車がぶち上げたEV大攻勢計画だ。30年までにEV30車種を投入し、トヨタの現在のグローバル販売台数の「3分の1」に相当する350万台をEVにする構想である。

 トヨタは同時に、30年までに電池も含めた電動化関連に8兆円もの巨費を投下する(研究開発投資と設備投資の合計)方針を明らかにした。

 しかし、である。実は22年はこうした「EV一辺倒」から一転、ガソリン車への揺り戻しが起きる公算が大きくなっている。

 それはなぜなのか。以降では、EV揺り戻しの理由を明かすと共に、22年の自動車業界の明暗を分けるポイントについても解説していこう。