総予測2022#雇用・賃金Photo:PIXTA

2022年は春闘賃上げ率が21年より上向きそうだ。人手不足感も強まると予想される。特集『総予測2022』の本稿では、22年の雇用賃金の状況について徹底分析した。人手不足にもかかわらず長期失業者が増える懸念がある。それはなぜなのか(日本総合研究所副理事長 山田 久)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

2022年春闘賃上げ率は
2年ぶりに2%台に乗せる

 2022年は、春闘の賃上げ率が2年ぶりに2%台に乗ると予想されるなど、労働市場の状況も基本的には改善が見込まれる。

 21年10~11月には落ち着きを見せた新型コロナウイルスの感染者数だが、今後21年末から22年の年明けにかけて再び増加するという見方が一般的である。

 ただし、ワクチン接種が先行した欧米各国の状況を見ていると、死亡率や重症化率は低下している。オミクロン株の登場もあり、楽観視は禁物であるが、治療法・治療薬もさまざまに開発される中、病床逼迫を避けることができれば、経済活動の継続は可能な状況になっているといえよう。

 もっとも、それはコロナ禍前の社会経済がそのまま復活することを意味しているわけではない。世界の枠組みは、民主主義・市場経済という一つのレジームに収斂していくことが期待された時代から、米中対立を主軸に民主主義対専制主義のデカップリングの時代に移行した。デジタル化が一気に進み、脱炭素化への流れも強まった。

 そうした中、22年に労働市場で予想されることは次の3点だ。