総予測2022#三菱UFJ銀行Photo by Kazutoshi Sumitomo

新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、銀行界は資金支援に奔走する一年となった。2021年は業績好調だが、22年はどんなシナリオを描いているのか。特集『総予測2022』の本稿では、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取のインタビューをお届けする。半沢頭取が富裕層ビジネス急拡大のために明かしたある秘策とは。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

「週刊ダイヤモンド」2021年12月25日・2022年1月1日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

変異株、経済構造の変化、インフレ……
半沢頭取が見据える2022年の懸念点

――2022年の世界情勢や銀行業界について、どのような見通しを立てていますか。

 コロナ禍も実質3年目となります。ワクチンや治療薬が普及してくるし、各国が大規模な経済対策を出してくるでしょう。世界的な景気は回復し続けると思います。

 留意点は二つあります。一つは変異株、もう一つは足元2年間のコロナ禍において、経済や社会の構造が変わりつつあることです。デジタルやグリーン化、働き方の構造変化は不可逆的な動きです。加えて、短期間では解決しない米中対立という問題もあります。

 こうした中で産業サイドは、コロナ禍のエグジット(出口)を見据え、構造変化を武器にしながら、成長戦略を実行するための元年になるでしょう。この取り組みを支援できるかどうかで、銀行界の競争力に格差が生まれます。

――22年に想定される他のリスクは何がありますか。

 インフレです。米国当局はまさに今悩んでいるか、もしくはかじを切ったかもしれませんが、物価上昇の圧力は高まっていて、実際に物価は上昇しています。

――22年は、引き続き気候変動問題が重要になります。メガバンクには何ができるのでしょうか。