ビジネスパーソンこそ読もう!UI/UXデザイン会社の1年目が選ぶ「仕事で本当に役立った1冊」Photo:Morsa Images/gettyimages

デザインカンパニーとして初の上場を果たしたグッドパッチ。今回は、グッドパッチの感性あふれる新卒のUI/UXデザイナーやエンジニア8人が、「仕事で本当に役立った1冊」をセレクト。デザイナーの思考をビジネスの現場に役立てる「デザイン思考」の重要性が世の中に認知され始めたように、デザイナーが持つ視点や感性、思考法は、遅かれ早かれ必ずビジネスの現場で必要になる。そういう意味では、つねに先を見据えているデザイナーが厳選する本は、多くのビジネスパーソンにも役立つはずだ。

誰かがあなたの話を本気で
聞いてくれたのはいつですか?

『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』(日経BP)
著者:ケイト・マーフィ

LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる『LISTEN 知性豊かで創造力がある人になれる』
著者:ケイト・マーフィ
出版社:日経BP

 人の話を「能動的に」傾聴する手法と、傾聴がもたらす人生の豊かさを述べた本です。

 著者はニューヨーク・タイムズを中心に活躍するジャーナリスト。執筆にあたり、聴くことに関する生体力学・神経生物学的なプロセスや情緒的側面を学術的に調べたり、聴くことをなりわいとする人へのインタビューを実施したりしながら、得られた示唆がまとめられています。

 私たちUX(ユーザー・エクスペリエンス)デザイナーは、ユーザーインタビューやエグゼクティブインタビューを通じ、人の話に耳を傾けながら、日々アイデアの創出と実装に取り組んでいます。インタビューで大切なことは、人の話を純粋に聴き、よく反応し、対象者の行動や価値観を引き出すことです。その手法を学びたく、本書を手に取りました。

 しかしこの本を読んでいるうちに、「聴く力」がUXデザイナーでなく、現代を生きる人にとって人生を豊かにする普遍的なスキルであること、習得の難易度が高く、鍛錬が必要であることがとてもよくわかり、身が引き締まりました。

 本書の冒頭の問いかけ、「最後に誰かの話に耳を傾けたのはいつですか?」そして「誰かがあなたの話を本気で聞いてくれたのはいつですか?」。この問いにドキッとした方は読んでみることをおすすめします。(UXデザイナー 吉田早希)

『論点思考』(東洋経済新報社)
著者:内田和成

論点思考『論点思考』
著者:内田和成
出版社:東洋経済新報社

『ビジネスにおいて本当に大事なことは、やらないことを決めることだ』――。

 本の冒頭で著者がこう述べているように、課題や解決に割くことのできる時間や人材のリソースには限りがあります。そのような中で成果を上げるためには、「真の問題」を見極めることが重要です。この真の問題をボストン コンサルティング グループでは「論点」と呼び、論点を設定することが行われています。

 この本では、論点を設定するための基本的な思考のプロセスがわかりやすく解説されており、実践のための指針とすることができるでしょう。

 私たちもクライアントワークにおいて、プロジェクトが抱えている「論点」を見いだすことから始めます。私たち新卒は、チームの先輩と相談しながら論点探しを行うケースが多いですが、将来的には一人前になり自身でリードできるようになりたい、そのように思っています。そのためまずはプロの思考のプロセスを参考にし、実践に当てはめるべく、この本が非常に役立っています。(UXデザイナー 塩田小優希)