CAが感心したメーカー創業者の愛妻家ぶり、「KY奥様」への一流のフォローとは写真はイメージです Photo:BJI / Blue Jean Images/gettyimages

「夫唱婦随」という言葉があります。最近では時代に合わないかもしれませんが、夫が言い出し、妻がそれに従うという意味から、夫婦仲が非常に良いことのたとえとして使われてきました。ファーストクラスにお乗りのお客様は、私用のご旅行などでご家族をお連れになってご搭乗されることも少なくありません。夫婦やパートナーとの関係性はそれぞれですが、ビジネスシーンでは見せることのないプライベートなお姿を垣間見ると、エグゼクティブにはある共通点がありました。(CCI代表取締役・元国際線チーフパーサー 山本洋子)

日本を代表する上場企業創業者ご夫婦、ホノルル便での出来事

 家族を大切にする。

 当たり前のように聞こえますが、自分の家族、特にパートナーのことをさげすんで表現する人がいます。特にある年齢以上の男性に多く見られる傾向です。パートナーである奥様を大切にしていないわけではないのでしょうが、例えば、「うちの愚妻は…」などと表現してみたり、極度に亭主関白を装ったりと、愛情や感謝の気持ちを素直に表現することが苦手な男性がまだまだ多いのが実情です。
 
 そんな中でファーストクラスで出会ったとても印象深いご夫婦がいらっしゃいました。

 日本を代表する家電メーカー創業者ご夫妻です。今は亡き創業者ですが、別荘で休暇をお過ごしになるときには、別荘のあるホノルル便をよくご利用されておりました。

 その創業者はとてもおおらかなお人柄で、世界に名だたるメーカーの創業者にもかかわらず、乗務員にもとてもフレンドリーに接してくださるすてきな紳士でした。奥様もとても気さくな方で、近くを通るたびに乗務員に何かと話しかけられるようなお話好きな方でした。

 お客様とお話をするのは乗務員の大切な仕事の一つです。特にプライベートでご旅行されるような場合はリラックスしていろいろなお話をしてくださるお客様も多いので、会話が弾むことが多々あります。このご夫婦も仕事を離れ、休暇でホノルルの別荘に向かわれる機内でしたので、リラックスして和やかに会話をしていました。

 しかし、実はこの奥様、お話好きもさることながら何かとご要望が多いのです。