生乳5000トン廃棄問題、「みんなで飲む」より根本的な解決法とは写真はイメージです Photo:PIXTA

日常的に、
大量の牛乳が廃棄されてきた

「大量廃棄を防ぐため、年末年始に牛乳をいつもより一杯多く飲み、料理に乳製品を活用するなど、国民の協力をお願いする」

 年末年始に生乳が5000トンも余って廃棄されるという懸念を受けて、岸田文雄首相が異例の呼びかけをおこなった。

 確かに、日本の人口の4分の1、約3000万人が年末年始に牛乳をコップ1杯飲めば、6000トンを超える。机上の空論ではあるが、理屈としては「国民の協力」で乗り越えることができる。

「さすが岸田さんだ!今年の正月は朝から晩まで牛乳ジャンジャン飲むぞ」という声が聞こえてきそうだが、仮にこのようなムードが盛り上がって国民運動になったとしても、この問題の根本的な解決にはならない。

 生乳5000トンの前に、日本では毎日かなりの数の牛乳が廃棄されているからだ。

 牛乳を毎日飲むという方はわかると思うが、スーパーやコンビニで牛乳が品切れするということは少ない。いつもしっかりと補充されていて、棚の奥から新しい牛乳が並べられ、手前にくるほど古くなる。こういう「新鮮な牛乳の安定供給」という体制を維持すると当然、廃棄品が大量に生まれる。

 では、いったいどれだけの牛乳が捨てられているのか。2015年、公益財団法人流通経済研究所がスーパーや生協を対象に食品ロスを調査した「日配品の食品ロス実態調査結果」(2015年3月6日)によると、廃棄される牛乳は、なんと推計で年間4723トンにものぼっている。

 これはあくまでスーパーと生協だけの数なので、コンビニや飲食店などで使う分をすべて合わせると、すさまじい量の牛乳が廃棄処分にされているということだ。