悩みや不安を感じたときは、まず気持ちを書き出すこと。しかし、内省だけでは現実を変えることはできない。行動し、その上で内省を繰り返すことで、自分が心から求めていることを深く知ることができる。では、内省を促す行動プランとはどのようなものか? 現実を改善するための3ステップの「書き方」を紹介。
習慣化のプロとしてこれまで5万人を指導し、1000人以上をコーチングしてきた古川武士氏が、自分を整理するための「書くメソッド」を体系化した書籍『書く瞑想』から、一部を抜粋して特別公開する。

【5万人を変えた習慣化のプロが伝授】<br />思い通りにいかない現実を変える<br />3ステップの「行動改善術」Photo: Adobe Stock

行動プランで現実を変えていく

 真の内省は「行動」とセットで深まっていきます。

 行動してみると、内臓感覚や心の反応で何を求めているのかを強く感じることができるのです。

 液体をリトマス試験紙に反応させ、酸性かアルカリ性かを試すようなもので、行動すると、感情・身体・直感反応が現れます。

 よって行動は「内省」であり、すなわち真の内省は「行動」によって深まっていきます。

 今回は、内省を促す行動のプランニングについてご紹介します。「行動プラン」で改善行動、実現行動を明確にしていくプロセスです。

 自分の価値観や目標をもとに、下の図のように1カ月の行動リストを書いていきます。

【5万人を変えた習慣化のプロが伝授】<br />思い通りにいかない現実を変える<br />3ステップの「行動改善術」「行動リスト」の見本

 大切なことは、放電(気持ちを下げること)を減らし、充電(気持ちを上げること)を増やす行動や習慣を考えることです。

 自分の価値観を強めてくれる活動を発想し、理想と目標を前に進める行動を書いてみましょう。

 自分と、人生を変える行動は1カ月の視野で考えないと、日、週の視野では狭すぎて小粒の行動になりなかなかドラスティックに変えられません。

 書くためには、次の3つのステップを踏んでみてください。

ステップ1:やりたいことをブレストして全部出す

 まずは、1カ月単位で着手してみたい行動を書き出してみてください。すべてをやる必要はありません。

 すべて書き出すと、本当に大切にすべき行動と習慣に絞っていくことができます。

「行動リスト」に、この1カ月で何をしたいのかを書いていきます。やりたいこと、やれたらいいなということを、思いつく限り書き出します。

 書くときのポイントは、「行動のアイデア出し」という前提で書くことです。まずはとにかく全部出すという精神です。行動は発散させてから絞り込むのが効果的です。

ステップ2:本質に迫ることだけを絞り込む

 次に、その中で特に集中する行動が何か、重要なものに☆印を付けます。価値観や理想から何が重要なのか絞り見定めておかないと、あれもこれもやりたい、という負のループに入ってしまいます。

 ☆は影響度が高いものでも、集中力が必要なものでも、緊急性が高いものでも構いません。自由な基準で印をつけてください。

 ちなみに、私は10の行動を書いたときは、「上位3つは何か?」と自分に問いかけて印をつけています。

ステップ3:いつ始めるか、いつ終えるかを書く

 最後に、スタート時期か、終了時期を書きます。手をつけ始める日でも、完了させる日でもどちらでも構いません。何もないときっかけをつかめません。

 私の場合、いつ終わるかやってみないとわからない作業は着手日を決めます。逆に完了日を決めることでやる気が湧くときは完了日を決めます。

 ToDoリストのように感じるかもしれませんが、「できたらいいなリスト」ととらえてください。ここで大切なことは、行動という方向で発想すること、具体化することだけです。

 書いてツボに響いたらやるし、響かなければやらなくていいのです。モチベーションは自然な発露として湧き上がってくるものを大切にしたいからです。ToDoリストのようにとらえないでください。

 自分に鞭打ってやるべきことは、義務としてもう十分やっていると思うので、ここにさらにノルマを課すとしんどくなるばかりです。

 もちろん、それが充電ならいいのですが、たくさん書いてToDoが増えたとか、やれていない感覚だけが残るという放電になるなら、逆効果です。

 一番ダメなのは、全部やらないといけないと自分に無用な期待をかけて、現実がそぐわないときに向き合わなくなることです。

 ポイントは、「やらなければいけないことリスト」ではなく、「できたらいいなリスト」だととらえて書き出すことです。

書き方のポイント
【ステップ1:やりたいことを全部出す】
 ・放電(気持ちを下げること)を減らし、充電(気持ちを上げること)を増やす改善行動を書く
 ・何をやりたいか、やめたいかを書く
 ・目標を前進させるための行動を書く

【ステップ2:最重要行動を絞る】
 最も重要な行動に絞りましょう。10の行動リストなら3つ、忙しいときは「最悪でも1つできたらいいとしたら何をするか?」と問いながら絞ると優先順位を整理できます。

【ステップ3:着手日もしくは完了日を書く】
いつ始めるか、いつ終えるかを書きます。ただし、ToDoリストのようにとらえず、書いて具体化することで、モチベーションがどう変化するか、やりたいことが重要なことかを確認しながら書いてください。

書く時間の目安は「10分」です。

(本原稿は『書く瞑想──1日15分、紙に書き出すと頭と心が整理される』からの抜粋です)