30年で3000社の上場企業に対してコミュニケーションや英語をテーマにした研修を行ってきた安田正氏。その研修で使用しているプログラムを改良・応用して書き綴り、惜しげもなく公開したのが武器になる話し方だ。もったいない話し方のため、満足いく結果を得られなかったり、本来は得られるポジションにつけなかったり。本連載では、多くの方の話し方を改善してきた安田さんの「武器になる話し方」を、本書の内容から一部抜粋して紹介する。

オンラインで話し方のうまい人がしている<br />「準備」とは?Photo: Adobe Stock

「なんだか、本当に会って話をしているみたいです」と思われる話し方とは

 恐らく、オンラインで話すときは、普段の私のリアルのセミナーよりも話しかける頻度は多いと思います。

 そして、オンラインですがお客様からの反応も多い。

 これは、すべてオンライン仕様に話し方(ややゆっくりめ、はっきりとした声)や表情(やや大袈裟な感じ)、そしてセミナーの方法(より双方向にする)を変えていっているからです。

 ですから、受講生の方からは「なんだか、本当に会って話をしているみたいです」と、よく言っていただいています。

 大前提としては、事前の情報収集をできるだけしておくことです。

 相手に事前にアンケートなどで、名前、職業、私の会社で実施しているコミュニケーション診断の結果、そして、コミュニケーションの悩みなどを尋ねておきます。そして、全員分の情報を名簿とともにまとめておきます。

 ですから、私はいつもそのメモの各個人の情報とセミナーの流れ、トピックと紐付けることが可能になります。

 たとえば、Aさんは「人見知りが悩み」と事前情報にあれば、

「Aさん、初対面の方と話す際、緊張しなくてすむ3つのコツをお伝えしますね」

 あるいは、Bさんが営業をやっているという事前情報があれば、

「Bさんは営業していらっしゃいますが、どんなお客様にも好かれるコミュニケーションのテクニックをこれからご紹介していきます。きっとBさんにお役立てできると思います」

 といった具合です。

 すると受講生に「ちょうど、そんなことが知りたかった!」「ちょうどその悩みを解決したいと思っていた」と感じてもらうことができるのです。

 また、オンラインならではのメリットもご紹介しておきましょう。

 それは、「自宅にいるのでリアルでのセミナーよりリラックスしていて、その方の素が出やすい」ということ。

 あなたも自宅でオンラインセミナーを受けたことがあれば、その感じがわかるかと思います。

 その分、実は話をしていて相手に親しみやすさを感じてもらえれば、お互いの距離が縮まりやすいのです。

「みんなでセミナーを聞いている」というより、「講師が私だけに話してくれている」という感じを持ちやすいからです。

 ですから案外、オンラインのほうが「1人対25人ではなく、1人対1人×25人で話すこと」を実現しやすくなるかもしれません。

武器になる
話し方

1人対25人ではなく、「1人対1人×25のイメージ」で話す。
名前を呼んで具体的にどんどん話を振る