定年前後のお金の手続きなどをやさしく解説した著書「定年前後のお金の正解」に、「分かりやすい」「自分の場合の正解が分かった!」などと多くの感想が寄せられている税理士でシニアマネーコンサルタントの板倉京さん。定年前後のお金の手続きは、会社も役所もていねいに教えてくれないので、知らないままに大損している人も多いのです。本連載では、板倉先生が、実際に定年前後のクライアントから多く相談されるお悩みをランキング形式で挙げながら、その解決策を本の中から紹介していきます。定年が視野に入ってきた人は、必ず知っておくべき最低限のポイントです。是非、ご参考に!

【定年前後のお金のお悩みBEST5 第1位】<br />退職金は、<br />「一時金」か「年金型」か、<br />どっちでもらうべき?Photo: Adobe Stock

退職金の手取りを最大化するポイントは「税金を低く抑えること」

 定年前後のお金の質問で、最も多いのがこの「退職金の受け取り方」についてです。

「年金型」だと、会社が運用してくれるので「一時金」よりも利息がついておトクだと考える人も多いのですが、実は、ほとんどの方にとっては「一時金」でもらうほうがオトクです。

 なぜなら、退職金の手取りを最大化する第一のポイントは「税金を低く抑えること」だからです。退職金は「一時金」でもらうと、「退職所得控除」という勤続年数に応じた大きな非課税枠があります。

この退職所得控除は、
・勤続20年以下の人は、40万円×勤続年数、
・20年超の人は40万円×20年+70万円×(勤続年数-20年)
(*勤続年数1年未満の端数は切り上げ。最低金額80万円)

で計算します。

 つまり、勤続38年の人なら、
40万円×20年+70万円×(38年-20年)=2060万円 
となり、2060万円が退職所得控除となり非課税枠になります。

 退職所得控除の範囲に収まる退職金の額であれば、税金は1円もかかりません。控除の枠を超えた部分も、その半分だけしか税金がかからないので退職金は「一時金」に大変メリットがあるのです。しかも、一時金でもらう退職金には社会保険料もかかりません。