カザフ政情不安に危機感、中国の恐れるシナリオPhoto:Anadolu Agency/gettyimages

【台北】石油資源の豊かなカザフスタンの情勢不安が長引く、あるいは内戦に発展する事態となれば、国境を接する中国にとってその代償は極めて大きくなる。ただ今のところ、中国は中央アジアにおける目標の多くを共有し思想的にも近いロシアが、カザフの反政府派弾圧という最も厄介な役割を担っている状況をおおむね静観している。

 中国が西部国境沿いで軍事的な衝突に直面するのは過去半年で二度目だ。アフガニスタンが昨年8月、イスラム主義勢力タリバンに制圧されると、中国は様子見姿勢を維持。複雑かつ不透明で現地の地政学的な情勢に精通していないアフガンで、主導的な役割を担うことを避けた。

 しかしながら、カザフを巡るリスクははるかに高い。中国はカザフと1100マイル(1770キロメートル)に及ぶ国境を接しており、その距離はアフガン国境の47マイルをはるかに上回る。また北西部・新疆ウイグル自治区には多数のカザフ系民族も暮らしており、反政府派の影響が波及する危険をはらむ。