記者会見で「道」と記した色紙を持つ将棋の藤井聡太四冠 Photo: JIJI記者会見で「道」と記した色紙を持つ将棋の藤井聡太四冠 Photo: JIJI

現在の将棋界を代表するスターといえば、今年20歳になる棋士・藤井聡太だろう。2021年には四つのタイトル戦を戦い、棋聖・王位を防衛し、竜王・叡王位を獲得した。2022年も、五つめのタイトル獲得、史上最年少名人につながるA級での戦いなど、さまざまなチャレンジが彼を待っている。藤井を止めるのは誰か。ライバルは台頭しているのか……2022年の将棋界の見どころを展望する。(将棋ライター 松本博文)

2020年度、王位・棋聖のタイトルを獲得

 2022年の将棋界でもっとも大きなテーマはやはり、国民的スーパースターとなった藤井竜王(王位・叡王・棋聖)がどれだけ勝つかだろう。

 藤井はここまでどのような快進撃を見せてきたのか。藤井の行く手を阻んできた棋士は誰か。まずは近年の将棋界の動きを簡単におさらいしておこう。

 2020年。当時17歳だった藤井は棋聖挑戦権を獲得し、史上最年少で将棋界の八大タイトル戦に登場した。藤井が挑んだ相手は、序列1位の渡辺明棋聖(当時36歳)。藤井は堂々とした戦いぶりで王者を相手に3勝1敗。シリーズを制し、史上最年少17歳でタイトルを獲得した。

 10代のうちにタイトルを獲得した棋士は、過去に屋敷伸之現九段(18歳で棋聖)、羽生善治現九段(19歳で竜王)の2人しかいない。それだけで歴史的な快挙だということがわかる。藤井は王位戦七番勝負でも木村一基王位にも挑戦し、こちらは4連勝ストレートで圧倒。18歳になったばかりで、2つ目のタイトルも獲得した。十代で二冠の棋士が誕生したのは史上空前。そしておそらくは、絶後となるだろう。