「デジタルアレルギー」が日本企業のDXを阻む!組織改革のプロが治療法を伝授写真はイメージです Photo:PIXTA

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」という言葉がビジネスシーンで飛び交うようになった。中には「DX推進部」のような専門部署を設立する企業も増えている。一方で、「デジタルアレルギー」といえるほどの拒否感を示す人も少なくない。特に、年齢の高い上層部の人に多いため、DXがなかなか進まないケースもある。しかし、そういった人も適切なアプローチによって意識が変わり、「抵抗者」から「DX推進者」に大変身することも可能だ。(Institution for a Global Society(株)CEO 福原正大)

日本企業の実態、「意思決定者」がデータを使おうとしない

「DXとは、データとデジタル技術を前提とした組織と事業によって、顧客価値を大きく向上させるイノベーションである」

 DXを筆者なりに簡潔な表現で定義すると、このようになる。ここで出てくるキーワードは「データ」「デジタル技術」「イノベーション」で、この三つが相乗効果を発揮すると、DXが起こるのである。しかし、その前提となる「データ」活用の部分で、最初の障害物が立ちはだかる。

 それが「企業の意思決定者が、データを使おうとしない」という実態である。

 私がCEOを務めるInstitution for a Global Society株式会社(IGS)では、DXに関する人々の意思決定パターンを測る経営シミュレーターを開発しており、企業の人たちに、意思決定でデータを用いる姿勢があるかどうかを分析した(図1参照)。

 それによると、若い人ほどデータを使い、年齢が上がるとともに、意思決定にデータを用いる人の割合が下がっていく傾向にある。その理由の一つとして、年代が上の人ほどデータよりも経験知を信頼している、ということが挙げられるかもしれない。

 会社の意思決定者の多くは年齢が上の人たちで、彼らは意思決定にデータが重要であるということに気づけていない、と捉えられても仕方がない。意思決定者がデータを使おうとしなければ、DX推進に必要なデータ志向に会社が変わっていくはずがない。