定年退職後の健康保険はどうする?22年の制度改正で保険料値上げになる人も写真はイメージです Photo:PIXTA

人生100年時代、定年退職後も何らかの形で働きつづけることを選択する人が増えている。その中で気になるのが、退職後の健康保険だ。実は働き方改革の一環で、退職後に多くの人が選択するある健康保険についても、22年1月に制度改定が行われた。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第235回では、退職後の健康保険の選び方について考えてみよう。(フリーライター 早川幸子)

退職後の健康保険の加入先
2022年はどう選ぶのが正解?

 日本で、総人口が減少に転じたのは2008年。だが、15~64歳の生産年齢人口は阪神・淡路大震災が起きた1995年に8717万人のピークを迎えていた。その後は減少の一途をたどり、2015年は約7728万人となっている。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2017年推計)によると、25年は約7170万人、35年は約6294万人と、今後、ますます減少していくことが予測されている。

 生産年齢人口の減少は、社会経済活動を支える労働力人口の減少とイコールだ。働いて収入を得る人が少なくなると、消費も低迷し、社会保障の支え手も少なくなる。そのため、これまでのような男性中心の労働市場ではなく、高齢者や女性、障害のある人、育児や介護をしている人など、働く意思と能力のある人は誰でも働ける環境を作ることで、労働力をカバーする取り組みである「働き方改革」が進められている。

 働き方改革には、労働法制の整備のみならず、年金保険や雇用保険、そして医療保険(健康保険)などの社会保障面の各種制度の整備や体制強化が含まれている。

 最近の医療分野での制度変更は2021年6月に成立した「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律(改正健康保険法)」に基づいて行われている。前回の本コラム「働くがん患者に超朗報、22年から傷病手当金支給が通算化」で紹介した2022年1月1日からの傷病手当金の改正も、そのひとつ。同様に22年1月から見直された項目の中でも、会社員の人が知っておきたいのが、退職後の健康保険を選ぶ際の「任意継続被保険者制度」の改正だ。

●退職前の勤務先の健康保険に引き続き加入できる「任意継続披保険者制度」が22年から制度変更に。
●自由意思による脱退が可能になるほか、保険料算定の基準が変更に。所得が高い人は保険料が上がる可能性もある。