野村ホールディングスは、90周年を迎える2016年3月期に向けて事業規模を適正化し、顧客志向にかじを切ることを明言した。

野村ホールディングス代表執行役グループCEO 永井浩二<br />アジアを中心とした<br />グローバル金融機関は堅持Photo by Toshiaki Usami

──赤字続きの海外事業にあって、アジアに立脚したグローバル金融機関の旗は降ろさないという。だが、高い成長が見込めるとはいえ、アジアは強豪がひしめき、市場規模はいまだ小さい。苦戦が続くのではないか。

 確かに、その通りだ。だが、アジアについては、「目先」と「長期」に分けて考えている。正直、目先で大もうけできるとは考えていないが、中長期での成長を見据えた場合、アジアは当社の強みを生かせる最も重要な地域だ。

 日本をマザーマーケットとする当社は、アジアと密接な関係にある日本企業のサポートに強みを発揮できることは、言うまでもない。そこに、これまで培ってきた法人営業と個人営業の両輪ビジネスを持ち込んでいく。

 これまでは、安定した個人営業の販売力を背景に、法人営業が株式の引き受けを行い、それに付随したビジネスを獲得してきた。それをアジアでも展開する構えだ。

──だが、金融規制がいっそう厳しくなる中で、はたしてうまくいくのか。世界中の投資銀行系の金融機関が苦しんでいる。

 われわれも厳しいが、他の金融機関に比べて相対的に有利な地位にある。これまでレバレッジをかけて莫大なリターンを得てきた投資銀行に厳しい規制がかけられるが、当社はその割合が少ない。

 この規制強化によって、とりわけ欧州系の金融機関を中心に、ビジネス規模を縮小させ、自らのマザーマーケットに回帰し始めている。つまり、競合が減りつつある。

 むろん、われわれも適切な規模に縮小する方向だが、顧客ニーズに応えられるだけの事業基盤は維持する。となれば、十分に競争優位があると考えている。