20年以上にわたり、のべ6000軒以上の家を片づけてきた「片づけのプロ」、seaさん。家事代行マッチングサービス「タスカジ」では口コミで人気に火がつき、「予約の取れない家政婦」と呼ばれている。テレビ「セブンルール」にも出演するなど、話題に事欠かない。
そんなseaさんの片づけ術の集大成が、新刊『家じゅうの「めんどくさい」をなくす。ーーいちばんシンプルな「片づけ」のルール』だ。この連載では、本書より一部を特別に抜粋・編集して公開する。
seaさんの元には「子どもを片づけ上手にしたい」「自分で片づけられる子にしたい」という相談が寄せられる。じつは、適切な環境さえ整えれば、子どもは驚くほど片づけができるようになるという。
本記事では、6000軒を片づけたらわかる片づけ上手な子を育てる「環境」作りのコツについて本書より紹介する。

捨てる 考えるPhoto: Adobe Stock

「片づけたくなる環境」が、子どもの行動を変える

「子どもを片づけ上手にするにはどうすればいいですか?」と相談を受けることがあります。

 私が考える最良の方法は、子どもに「快適なセルフスペース」をつくってあげることです。快適なセルフスペースとは、「ここには自分の好きなモノしかない!」と思える場所のこと。

 そういう好きなものだけに囲まれた空間では「この場所を大事にしよう」という意識が自然と生まれ、散らかったおもちゃをしまったり、増えすぎたおもちゃを整理したりするお子さんが多いです。

「捨てなさい」は禁句

 お子さんに対して「捨てようね」とか「減らさないとダメだよ」といった言葉を使うのはNGです。片づけのマイナス面を強調すると、子どもは片づけに苦手意識をもってしまいます。

 片づけの現場で痛感しましたが、一方的に「捨てなさい」と言われると、お子さんはとてもいやがります。「捨てる」「減らす」という言葉は強烈なので、何かを失うようなさみしい気分になるものです。おとなも同じですよね。

 強調すべきはプラス面。「もっと遊びやすくしたいから、いちばん遊びたいものを教えて」「遊ぶのが楽しくなるようにしてみよう!」「こうすると取りやすいね!」と、お子さんがうれしくなる提案をすると、協力を得やすいです。

幼くても、親のアシストがあれば片づけを完走できる

 家族のモノは勝手に分けないのが原則ですが、小学校入学前までのお子さんは別です。

 お子さんの意思を尊重しようと、ゼロから一緒に片づけようとする方も多いのですが、小さなお子さんの集中力は持っても20分くらい。片づけを最初から完走するのは無理があります。

 年齢別に言うと、1歳までは親がすべて判断し、2歳ごろからは声をかけて一緒に作業を進めるのがよいでしょう。ただし、おもちゃの量が多く、分類もされていない状況なら、先に親が判断して作業の下地をつくってあげるとスムーズです。

子どもが「本当に遊びたいおもちゃ」の見分け方

 おもちゃのなかでいちばん大事で、よい場所にしまうべきなのは、子どもが最近遊んでいるおもちゃです。経験上、これはどの親御さんもかなり正確に把握しているので、あなた自身の感覚を信じて大丈夫です。

 ただ、「子どもが最近触ったかどうか」には振り回されないように気をつけましょう。赤ちゃんのときに使っていた歯固め用おもちゃをお子さんが気まぐれに触ることがあっても、それは「ごちゃごちゃいろんなモノがあるからなんとなく触っただけ」だったりします。

 少し前にハマっていたけど、いまは見向きもしないおもちゃは、もう「使わないモノ」です。子どもの成長は早いので、ブームが過ぎ去るのも早いです。

 本書では、キッズスペースの具体的な整え方も紹介しています。快適で楽しく遊べるキッズスペースを作っていただけることを願っています。