一流経営者の「去り際」の習慣、なぜ一瞬でまた会いたいと思わせるのかPhoto:PIXTA

優れた経営者は、コミュニケーション力にたけているとよくいわれる。ただ、コミュニケーション力にたけているというのは具体的にどういうことなのか。本稿では、アナウンサーとして話す仕事に携わるほか、経営者など一流ビジネスパーソンのスピーチトレーニングを行う樋田かおりさんが、一流ビジネスパーソンが実践している「人の心をつかむコミュニケーション」について解説する。

一流はいつでも
「質問」を持っている

 出会う人を引きつける経営者には、そのコミュニケーションの仕方に特徴がある。

 ある大型施設の屋根を造っている会社の社長、Aさんもそうした人を引きつける経営者の一人。Aさんは高校を卒業した後、入社した会社で数々のプロジェクトを成功に導き、その結果、世襲ではない状態で社長になった。高卒・未経験だった彼が社長にまで上り詰めることができた要因は、コミュニケーション力にある。

 コミュニケーション力というと、何が優れているのかよく分からないと感じる人がいるかもしれない。具体的に話そう。Aさんは、とにかく質問をいつでも用意しているのだ。

 例えばこんなことがあった。自社より明らかに規模の小さな会社の1人社長に対し、「そのような業種の方とは初めて会いました。これまで苦労された経験はなんですか?」とAさんは質問を投げかけた。