ブースター接種,3カ国で比較してみると……接種を決める心理的要因Photo:123RF

 日本でも、新型コロナウイルスワクチンのブースター接種が始まった。

 当初、オミクロン変異への有効性が疑問視されていたが、先行している英米からの報告では、追加接種で80~90%の入院抑制効果が期待できるようだ。対アルファ変異、デルタ変異ほどではないが、発症と感染予防効果も認められた。2回接種を済ませた方は、追加接種もご一考いただきたい。

 山口大学人文学部、高橋征仁教授らの国際研究グループは昨年、ワクチン接種を決める心理的要因に関しネット調査を行っている。

 調査対象国は、世界最速でワクチン接種を始めたイスラエル、1970~80年代の種痘禍問題が後を引いてワクチン導入に慎重な姿勢を取らざるを得ず、周回遅れになった日本、そしてワクチン開発企業との交渉が政治問題化し初動に遅れたハンガリーの3カ国だ。

 調査時期はイスラエルが昨年1月、日本が同2月、ハンガリーは同4月だった。このときのワクチン接種希望はそれぞれ74%、51%、31%と開きがあった。

 解析の結果、ワクチンの接種意向を左右する心理的な要因のうち、3カ国に共通するのは「接種しなかった場合の後悔」と「政府に対する信頼感」だった。意外に「自分は感染しやすい(環境や職場)」「重症化リスクがある(持病など)」は接種の理由にならなかった。少なくとも調査時点では、感染やワクチン接種を自分ごとと捉える意識は薄かったようだ。

 日本人の要因に目を向けると、「学歴」や「主観的規範」――周囲の期待に応えようとする意識が強いほど接種意向が高かった。逆に「接種の手間」や「副反応で活動に影響がでる」など、接種の弊害への懸念が強いほど接種意向が低下した。家族や世間の意向を重んじ、仕事や学業への支障を嫌がる日本人らしい意識だろう。

 本調査から1年後の今、感染被害が甚大な欧米ではワクチン接種を義務化する動きが顕著だが、日本はあくまで自身の選択に委ねられている。もし「自分ごと」での判断が難しいときは、「大切な家族や友人ごと」として考えるといいかもしれない。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)