「ピアノや音楽の能力って、子どものころからやっておかないと身につかないんでしょ……?」と思っていませんか?
大丈夫です。今からでも間に合います! しかも、ピアノの演奏に楽譜をよむ力は必要ありません。
なぜなら「楽譜に書かれていない音楽を自由に弾く能力」を伸ばしていく方法があるからです。「まったくの未経験だけどピアノに興味がある」「音楽に苦手意識がある」「駅や空港のストリートピアノをさらっと弾いてみたいんだけど……」という人でもすぐに両手で弾けるようになります
本連載では「ピアノが弾けるようになりたい!」という方に向けて、かんたんに両手で弾けるようになる方法をわかりやすく解説します。著者は作曲家でボカロPのmonaca:factoryさん。この度『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を出版し、誰でもピアノを自由に楽しくかっこよく弾ける秘訣を、余すことなく伝えています。

「楽譜と音楽の能力は関係ありません!」今からはじめても、ピアノがうまくなる秘訣Photo: Adobe Stock

ポール・マッカートニーも楽譜のよみ書きができない?

 音楽に限らず、つい「自分には才能がないから……」と考えてしまうこと、ありますよね。でも、その思い込みは全然あてにならないものです。これまで、経験がなかったとしても、眠っていた音楽センスが急に開花するかもしれません。

 例を挙げましょう。いつの間にか「楽譜がよめる人」=「音楽ができる人」と思っていませんか? 実は、この2つの能力は関係ありません。世界の音楽に多大なる影響を与えた偉大なバンド「ビートルズ」のポール・マッカートニーも、実は楽譜のよみ書きができないそうです。

 それでも彼はピアノやベースといった楽器にとどまらず、ボーカルも作曲さえも、なんでもできてしまいます。わたしはポール・マッカートニーが楽譜をよめないと知ったとき、強い衝撃を覚えました。「楽譜と音楽の能力は関係ないんだ」という妙な納得感を得られたのです。

 さらに、やらされるのではなく、自分で生み出す側の人間になればいいんだと教えてくれているような気がしました。ピアノ教室が嫌いになってやめる子どもは少なくありません。そうなるくらいだったら、100人中100人全員が楽譜教育の世界に縛られなくてもいいのではないかと思います。

音楽は「楽しむ」もの!

 そういうわたしも、特別な教育を受けてきたわけではありません。わたしのピアノとの出会いは、小学1年生のころに教室に通いはじめたときです(正確には「通わされた」ですが……)。「発表会なんて出たくない……嫌だ……」と思いながらなんとかやめずに続けていました。

 そんな中「音楽、楽しいかも!」と思うようになったのはずいぶんあとの中学1年生のころ。きっかけは、当時好きだったゲーム(ファイナルファンタジーシリーズ)の楽譜を買ってみたら、途端にピアノを弾くのが楽しくなってきたことです。発表会で弾いたりもしました。作曲というものに漠然と興味が芽生えたのもこの時期の経験が大きいです。

 それから何年かして作曲を独学で勉強しはじめました。ピアノ教室ではまったく教わらなかった知識をたくさん吸収し、その違いに驚き、わくわくしました。

 そして「この知識は作曲家だけが学ぶものにしておくのはもったいない!」と思い、ピアノレッスンをはじめました。小学校のころに教えてもらっていたら、もっと目を輝かせて取り組んでいたであろう内容をとにかく詰め込みました。

 ピアノが嫌いになる前に、もっと自由な音楽の道を教えてくれる人がいればいいのに。このレッスンはまさにその道を切り開くことをめざして作りました。

(本原稿は、monaca:factory著『楽譜がよめなくても90分でいきなりピアノが弾ける本』を抜粋、再構成したものです)