ドン・キホーテ、国内は不調も32期連続増収増益を果たした「アジア戦略」の巧妙さPPIHの驚異の増収増益を牽引するのは、実は国内のドン・キホーテではない Photo:PIXTA

国内で苦戦するドンキが
32期連続増収増益のなぜ

 大型ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)の2021年6月期決算は、創業以来32期連続の増収増益となった。日本の全上場企業の中でも傑出した偉業だ。

 実は、近年の増益の立役者は「驚安の殿堂」ではない。国内のドン・キホーテ店舗は、コロナ禍の影響やインバウンド需要の消失で苦戦を強いられている。

 牽引役は、アジア地域での大幅な業績拡大だ。アジア地域の売上高は、前年比2.4倍の501億円。営業利益は前年の4億円の赤字から転じ、34億円の黒字を達成した。

 PPIHのアジア地域における営業利益率は、7%に迫る水準だ。これは、20年以上前からグローバル展開を手がけてきたユニクロや無印良品に比肩する。同社のアジア地域における1号店(シンガポール)出店は2017年末なので、わずか4年で7%近い営業利益率を達成したことになる。

 PPIHは2022年1月現在、シンガポール、香港、タイ、台湾、マレーシアの計5カ国で30店舗を展開しており、今後も出店スピードの手綱を緩めない見込みだ。